【独白】梅宮アンナ、がんになり、肺炎にもなった私が願うのは「自分の病気のことを誰もが言い出せる社会」
「病気なんです」と言い出せない日本はしんどい。現状を変えたい
「AC療法」の最中、地元を歩いていると毎日2~3人の方から声をかけられました。「アンナさん、いつも見ています、がんばってください」って。みんながこれを言い出せることが私は嬉しい。中には勇気を振り絞って、それこそ震えながら声をかけてくださった方もいらっしゃいますが、どんな方も私に対して「私も経験しました」と言いだせるようになったことが嬉しい。 私の場合は、がんにかかりましたと公表することで、周囲が変わりました。公表する前とはお友達の顔ぶれも違います。私にかけてくださる言葉の中で、いまいちばん自然だなと感じる反応は「言葉を失う」です。「かける言葉がないけれど」という正直な気持ちに嘘のなさを感じてすっきりします。 私がり患を発表して、「頑張って、大丈夫だよという言葉がつらい」と発信したときは、まだ抗がん剤治療が始まっておらず元気で、マインドも違いました。だから「近い未来の約束」、「元気になったらゴルフに行こうね」という反応がいちばん嬉しかった。でもいまは闘病に疲れていて、ゴルフに行きたいとも考えられなくて(笑)。このようにメンタルも刻々と変化しています。 がんにかかったと言いだせず、家族にすら言い出せずにしんどい思いをしている人がまだまだきっといますよね。私の言葉で世の中がすぐ変わるわけではないけれど、思いを口にしていいんだと受け止めてくれる人はいるのではないかと思います。私なんて、こんなに言ってもまだ自分の病気に悶々としてるのに、一人の心にしまって闘病するだなんて、どれだけしんどいかと思います。 私は自分の状態がどのようであっても口にできてしまう、失うものがない人です。新しい世界に飛び込みたかったから「がんにり患しました」と公言できました。でも、一般的な芸能人はまだまだ自分が病気であるとは言えないかもしれません。仕事を失う可能性があるし、理不尽な扱いがあるかもしれないから。だとしたら、それがどのような業界であっても、あまりよい社会のあり方ではないですよね。 もうひとつ、もともと日本人の持つ美徳である「我慢」も「言い出しにくさ」の背景にあるでしょう。余計なことを言わず、迷惑をかけないことが尊いとする風潮です。さらには「あの人は病気なんだって」という目で見られたくないという気持ちも影響しているかもしれません。これらも私はあまり正しいとは思えていません。とはいえ、この気持ちもまた変わるのかもしれません。 前編記事では、肺炎治療までの話を中心に伺いました。続く後編記事ではなぜアンナさんがSNSで自分の病状を発信し続けるのか、その決意をお話いただきます。
タレント・モデル 梅宮アンナ