巨人大物OBが中田翔の電撃トレードに“辛口意見”「あきれた…“大巨人”は中田を救うべきだったのか」
日ハムが「無期限出場停止処分」を下したのは統一契約書第17条(模範行為)違反で、野球協約第60条(1)の規定に該当するものと認定したためでNPBコミッショナーからも「出場停止選手」として公示された。それが移籍でチームが変わった途端、わずか9日で処分が解除されたことになった。一部のファンからは批判の声が出ているが、広岡氏も同意見。 さらに広岡氏は、「中田という選手が入ることで、また何人かせっかく育ってきた生え抜きの若い選手の出場機会が減り、若い芽を摘むことにもなってしまう」と危惧する。 今季の巨人の一塁は主に中島、ウィーラーが守っているが、中田が一塁で起用されることになると、また押し出されてしまう若手が出てくる。チーム内競争が激しくなるのは、歓迎すべきことかもしれないが、「生え抜き育成」の妨げにはなる。 そして広岡氏は、こう厳しい意見を続けた。 「戦力としても中田が逆転Vの切り札になるとは考えにくい。中田には、過去にタイトルを獲得した経験と今の巨人に欠けている長打力があるが、昔の名前では通用しないのだ」 今季の中田は開幕から調子が上がらず、ここまで39試合出場で、打率.193、4本塁打、13打点と低迷している。腰痛にも悩まされ、ファーム落ちも余儀なくされた。昨年は31本塁打、108打点の成績を残して、4年ぶりに打点タイトルを獲得、本塁打タイトルも楽天の浅村栄斗にわずか1本差に迫るなど復活のシーズンを送っていたが、一転して、苦悩のスランプのシーズンとなっている。 しかし、原監督は批判の声が出ることを承知の上で、中田という野球界の逸材の未来が閉ざされることを懸念して再チャレンジのチャンスを与えることを決意した。「過ちを犯した選手」が、一から出直すチャンスがあるのも、プロ野球という実力の世界の魅力だ。 親分肌の中田は、真面目で心優しき男。暴力行為は絶対に許されるべきではないが、本当は正義感の強いアスリートなのだ。 “大御所”も中田の新天地での再生に辛口のエールを送る。 「紳士たれ!を伝統とする巨人は、茶髪や髭などはアウト。私生活での行動も含めて日ハムと違ってあらゆる部分に厳しさがあるチームだ。そういう意味では、自分勝手はできないし中田が再生するチャンスのあるチームではある。中田はダメなら終わるくらいに気持ちを入れ替え野球人生をかける決意で取り組まねばならない」 再生のポイントは、原監督とコーチ陣の指導力だという。 「大事になってくるのはコーチの存在だ。日ハムは、栗山以下コーチが、彼のやりたい放題に放置したから、こういう事件が起きた。いくら実績のあるベテランと言えどもコーチが教育しなければならない。原以下、巨人のコーチが中田と一緒になって野球への向き合い方、取り組み方を変えることができるかどうかにかかっていると思う。本来コーチには選手に幸せをつかませるという役目があるのだ」 注目の中、背番号「10」を背負った中田は、早ければ今日21日にも巨人デビューを迎える。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)