<Jリーグ>広島を首位に押し上げた「3-6-1の可変システム」
波状攻撃を食い止めるには
ならば、サンフレッチェやレッズの波状攻撃を食い止めるにはどうしたらいいのか。 「マンツーマンディフェンスで守るのが手っ取り早いとなるんだけど、そうなれば自分たちのスタイルを変えることになる。上手くいかないときの方が多いし、そうなるとストレスもたまってくる」 水沼氏が指摘するように、今年に入ってからは対戦相手がシステムをあえて「3‐6‐1」に変更。まるで鏡映しのようにマンツーマンでマッチアップする状況をつくり、サンフレッチェやレッズの長所を消し去る戦法で臨むケースが増えてきた。 名古屋グランパス、柏レイソル、FC東京、川崎フロンターレ、そしてヴァンフォーレ甲府。しかし、いずれも結果を伴わないことが多く、両チームが上位をキープする理由のひとつになっている。
相手チームも嫌がる「4‐1‐5」
森崎和も相手チームが「4‐1‐5」を嫌がっていると実感している。 「味方の選手同士の距離がすごく近くなるので、攻撃時は相手をどんどん押し込める。その意味では、相手はボールの取りどころがないと思います」 相手ボール時の「5‐4‐1」のもとで形成される、9人による守備ブロックをいかに対戦チームが攻めあぐねるかは、あらためて説明するまでもないだろう。
森崎和の閃きによって生まれた「可変システム」
独自の「可変システム」が産声を上げたのは2008年。きっかけは森崎和の閃きだった。 「当時はワンボランチの3‐5‐2でしたけど、攻撃の起点になっていたリベロのストヤノフに対して、相手のFWがマンマーク気味でついてきたんです。そうした状況下で僕が最終ラインに下がれば、ちょっとでもストヤノフへのマークが分散するかと思って」 就任3年目を迎えていたミハイロ・ペドロヴィッチ監督も森崎和のアイデアに賛同し、さらに指揮官自身も前線を佐藤のワントップとし、背後に2人の攻撃的MFを並べることを決断。試行錯誤が繰り返される中で「可変システム」が熟成され、相手チームの脅威となっていった。