「トランプ当選が円安に終止符を打つ」…大統領選に振り回される日本が「アメリカに一矢報いる」驚愕の秘策とは
2024年7月10日、日経平均株価は史上最高値の4万2224円2銭を記録した。その一方で、8月には過去最大の暴落幅を記録し、株価乱高下の時代に突入している。インフレ時代の今、自分の資産を守り抜いていくために私たちはどのような対策をすべきなのか。NVIDIA急成長の背景や新NISAとの向き合い方を見直しながら、日本経済の未来について考えていかなくてはならない。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では世界的経済アナリストのエミン・ユルマズ氏と第一生命経済研究所の永濱利廣氏が語る日本経済復活のシナリオを、『「エブリシング・バブル」リスクの深層』より一部抜粋・再編集してお届けする。 『「エブリシング・バブル」リスクの深層』連載第43回 『台湾の半導体企業は「入社1年目で900万円」なのに…賃金が「異様に安い」日本が持つ「日本経済復活の兆し」』より続く
世界の生産拠点になり得る日本の強み
エミン:エミン・ユルマズ。トルコ出身のエコノミスト・グローバルストラテジスト。レディーバードキャピタル代表。1996年に国際生物学オリンピック優勝。1997年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。同大学院にて生命工学修士取得。2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に携わった。現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。 永濱:永濱利廣(ナガハマ トシヒロ)。第一生命経済研究所首席エコノミスト。1995年第一生命保険入社。98年より日本経済研究センター出向。2000年より第一生命経済研究所経済調査部、16年より現職。景気循環学会常務理事、衆議院調査局内閣調査室客員調査員などを務める。 永濱:ただトランプ氏が大統領に当選すると、こうした流れが変わる可能性があるでしょう。 トランプ氏はバイデン政権が円安を放置していると批判していました。トランプ氏が当選したら、何か対応してくる可能性がありますので、短期的には円高に振れるかもしれません。ただ、ハイテク製品の生産拠点になれる条件をかなり日本は揃えていますので、それでも見通しは明るいと思っています。日本人はなんだかんだ言って、ものづくりが得意ですからね。 エミン:そうですね。 永濱:自動車産業はもともとアメリカで発展しましたが、そのアメリカでも、日本の自動車メーカーにはかなわなくなりました。日本の強みである現場のすり合わせ力とか、トヨタのカンバン方式に代表される緻密な在庫管理や生産管理がいかに凄いかということでしょう。 もちろん、アメリカは金融やIT等の分野では強みを発揮しています。しかし、ものづくりの分野では日本の農耕民族的なDNAが強さを発揮するのかもしれません。 日本人はよくも悪くも真面目で勤勉だから、少しくらい賃金が安くても、我慢してコツコツ働く人が多い傾向にあるとする向きもあります。