5年に一度に実施される謎の調査 「大都市交通センサス」とは?
11月17日から19日の3日間、東京駅や新宿駅で封筒に入ったアンケート用紙を配る人たちが見られました。配られていたアンケート用紙は、「大都市交通センサス」と呼ばれるものです。これは政府・国土交通省が実施する統計調査です。あまり馴染みのない「大都市交通センサス」とは、何なのでしょうか?
鉄道やバスの利用状況を調査
今年、5年に一度の国勢調査が実施されました。総務省はプロジェクトリーダーにタレントの高田純次さんを任命するなど、国勢調査のPRに力を入れていました。国勢調査以外にも国が実施している統計調査はいくつかあります。国土交通省が主体となって実施している「大都市交通センサス」もその一つです。 今年は「大都市交通センサス」の調査年にあたります。11月17日から19日の3日間にかけて、東京圏・名古屋圏・大阪圏の主要1106駅で「大都市交通センサス」のアンケート用紙が配布されました。 「大都市交通センサス」は馴染みが薄く、駅前で配っているアンケート用紙を駅前商店のビラと勘違いして受け取らない人も多く見られました。そもそも「大都市交通センサス」とは、どのような調査なのでしょうか? 「『大都市交通センサス』は、1960(昭和35)年から始められました。国勢調査と同様に、5年ごとに実施されています。調査対象エリアは、東京・名古屋・大阪から70キロメートルの範囲内を発着している路線です。鉄道路線だけではなく、バス路線についても調査を行っています」(国土交通省総合政策局交通計画課)
調査の内容は、定期券の購入状況、目的地や利用した曜日、乗り換え路線など鉄道の利用状況に関するもの。集められたデータから、人口分布と輸送量との関係などを分析し、国や地方自治体が策定する交通政策に反映されることになっています。例えば、通勤時間帯の変化や定期利用者の増減を把握することでラッシュ時の運転本数を増発して混雑緩和につなげたり、始発・終発時刻を拡大させることで利便性を向上させたりすることが期待されています。 「前々回の2005年調査と前回の2010年調査とを比較すると、定期券利用者の数が減っていることがわかりました。これからは、ワークスタイルの変化が読み取れます。ほかにも、東京では通勤時間は長時間化の傾向が見られました。これは、郊外化の傾向があるということです。こうした統計調査を実施することで社会の変化を把握し、より使いやすい交通機関を整備するのが『大都市交通センサス』の目的です」(同)」