阪神 秋季C“球児フィーバー”近年最多6000人超 午前7時半に駐車場満車 急きょ外野席開放し5年ぶり紅白戦
「阪神紅白戦、白組0-0紅組」(3日、安芸市営球場) 阪神は3日、高知県安芸市の秋季キャンプで藤川球児監督(44)の就任後、初実戦となる紅白戦を行った。近年の秋季キャンプでは最多となる6300人が来場。駐車場が午前7時半には満車となり、急きょ外野席を開放するなど“球児フィーバー”が巻き起こった。 秋季キャンプ最初の日曜、安芸に“球児フィーバー”が起こった。19年の6000人を超え、近年では最多となる6300人を動員。藤川監督は「本当にありがたい。高知の皆さんも喜んだだろうし、選手も刺激になった。タイガースの人気、存在価値は大切にしなければと思った」と詰めかけた虎党に感謝した。 3連休の中日。前夜までの雨が上がり、キャンプ3日目で初めて晴天に恵まれた。球場には早朝から気の早いファンが集まり始め、練習開始2時間半前の午前7時半には隣接する駐車場が満車となった。さらに臨時駐車場も車で埋まると、球場近くで安芸市が保有する施設を“臨時の臨時”駐車場として使用。車を置いた来場者をシャトルバスで球場までピストン輸送するなど対応に追われた。球団関係者によると岡田監督時代にもなかった措置だったという。 球団はファンサービスとして選手のサイン会実施をアナウンスし、午前9時前から先着1000枚の抽選券を配布。50枚の“当選”を求めて球場外まで長蛇の列ができた。サイン会には桐敷と石井が登場。2人は笑顔で丁寧にペンを走らせた。急きょ外野席も開放され、球団関係者は「秋季キャンプでは記憶にない」と驚いた様子だった。 秋季キャンプでは5年ぶりとなる紅白戦が始まると、藤川監督はバックネット裏のパイプ椅子に腰かけ、注意深く戦況を見つめた。ベンチにはキャンプのテーマである「没頭」と書かれた白い旗が掲げられた。就任後、初めての実戦は実り多きものとなった。登板した8人の投手は全員無失点に抑えた。「全ての投手に共通して言えるのは、課題を克服しているということ」とうなずいた。 打線は無得点だったが、若虎の躍動に目を細めた。2安打の豊田を「素晴らしかった」とたたえた。「1番」に置いた井坪は無安打に終わったが「内容は良かったし、特長は出たんじゃないかと思う」と評価した。 敗れたチームには罰走として階段ダッシュを課していたが、引き分けに終わったことで出場者全員が階段を懸命に上下した。「痛み分けということで、みんなで一つと感じている」。チームで苦難を分かち合う様子にうれしそうだった。 大盛況の一日。笑顔と歓声があふれる球場は、藤川監督が何より望んでいたものだった。高知県出身の指揮官にとって最高の地元凱旋となった。 ◆主な安芸フィーバー 電撃トレードで… 「空白の一日」による江川卓との電撃トレードで阪神入りとなった小林繁が1979年2月10日に春季キャンプ地の安芸入り。高知空港はファンや報道陣で、ごった返し。国道55号も車と人であふれ、安芸周辺が大混乱となった。 ギャル注意報 92年の秋季キャンプでは、新庄剛志&亀山忍の『亀新フィーバー』に備え、安芸でのキャンプ中の外出時は担当コーチかマネジャーからの許可制が取られた。11月1日にチームが安芸入りした際は宿舎に阪神ファンのギャルの姿も。 ノムさん人気 就任したばかりの野村克也監督の人気もあって、秋季キャンプ中の日曜日だった98年11月8日の日曜日に約3000人が来場。 闘将就任 星野仙一監督就任1年目の春季キャンプ初日だった2002年2月1日、安芸での春季キャンプ初日に約3000人が詰めかけた。