米国以外の国からエイブラムスを補充できる可能性も

しかし、奇妙なことに米国はエイブラムスについては補充分を供与していない。米国にはM1が文字どおり数千両保管されているにもかかわらず、米国がウクライナへの供与を表明したM1は、1年ほど前にウクライナに到着した31両がすべてである。 第47機械化旅団にエイブラムスがあと何両残っているのかはよくわからない。オランダのOSINT（オープンソース・インテリジェンス）サイト「オリックス（Oryx）」によれば、8日までに8両が撃破されたほか、さらに8両が損傷し、うち7両は遺棄または鹵獲されたことが視覚的に確認されている。 動かなくなった戦車を戦車部隊が牽引して回収し、修理するのは珍しくないが、第47機械化旅団が昨年初冬ごろから今年秋口にかけて東部で主に後衛戦を戦っていた間、遺棄されたエイブラムスのうち何両を回収できたのかは不明だ。 第47機械化旅団に残っているエイブラムスは多くて22両、最も少なければわずか15両かもしれない。いずれにせよ、生き残ったエイブラムスは現在、どれも追加装甲とジャマーを装備しているとみていいだろう。これらのM1は、これまでで最も防護力を高めた状態で戦闘に復帰することになり、またこれらの追加装備のおかげで、同旅団の戦車がまとまった戦闘力を形成できなくなるほど不足する日を遅らせられるかもしれない。 もし第47機械化旅団がエイブラムスを追加で取得できるとすれば、それは米国ではなくオーストラリアからかもしれない。米国はウクライナに戦車を追加供与する意向を示していないが、オーストラリアは最近退役したM1A1 SA59両の譲渡を検討していると伝えられる。 59両の新たなエイブラムスがあれば、第47機械化旅団は既存の戦車大隊の損失を補充でき、2個目の戦車大隊を編成できるかもしれない。裏を返せば、補充できない限り、同旅団の戦車大隊は20両前後の既存の戦力で戦わざるを得ないことになる。