主題歌担当のドラマ「クリスマス・イヴ」は「テレビの前で正座して観ていた」 辛島美登里が語った大ヒットの裏側
稲垣潤一とのデュエット、小田和正のカバー
詞曲の提供者としての辛島は、永井の前後にも、斉藤由貴や酒井法子、林原めぐみ、観月ありさ、森口博子らと携わってきた。だが、歌手としてコラボレーションしたのは、かつて同じレコード会社(ファンハウス)に所属していた稲垣潤一だ。 当時は無口を全うしているイメージがあった稲垣を、辛島は「カッコいいけど怖い大先輩」と思っていたと笑う。その後、何度か対談の機会があったものの、そんななイメージは変わらなかった。 2008年に稲垣のデュエットカバーアルバム「男と女ーTWO HEARTS TWO VOICESー」で辛島に声が掛かった。デュエットしたのは、今井美樹の「PIECE OF MY WISH」。その頃から稲垣の表情も柔和になり、会うごとに「すごく優しくなった」という。 「でもお互い、不器用で照れ屋なんです。デュエットだから、曲中に1度や2度は目を合わせて歌う箇所が欲しいところなんですけど、私は1度も目を合わせる余裕がなくて。最近、テレビでご一緒したときは、最後の最後にようやく目が合ったんですけどね」 ソロだと少しニュアンスを変えてもいい場合があるが、デュエットだと相手もあり、そうはいかない。お互いに緊張しているのもあり、その緊張が解けた最後にようやく目を合わせられるようになってきたのだという。 一方、学生時代から憧れていたのは小田和正。2012年にカバーアルバム「Love Letter」を発売し、近年は小田のライブを何度も訪ねている。その際に「たしかなこと」を弾き語りで歌っていることを伝えると「ピアノで弾いたんだ!」と喜んでくれたという。憧れのアーティストとの交流は辛島の原動力の一つにもなっている。
何でも歌います! 夕涼みコンサート
2020年の春ツアー中、コロナ禍でその後のツアーを中止せざるを得なかった。長年活動を続け、体調が良いときばかりではなかったが、ライブやコンサートをキャンセルしたことはそれまで一度もなかったという。 すでに恒例になっていた夏の「夕涼みコンサート」は、「配信でやるしかない!」と無観客での生配信で開催することとなった。「夕涼みコンサート」は、自身のオリジナル曲に加え、公式サイトなどで募ったリクエスト曲を歌うことでも人気のライブだ。昨年はこのリクエストに応じてB’zの曲にも挑戦した。 「トライすることは私も面白いし、このコンサートで演奏してくれるミュージシャンは少数なので、アレンジの妙も皆さんで楽しんでもらえています」 今年は8月31日に開催される予定で、辛島の公式サイトには今年も「え? この曲?」と思わせるようなリクエストが多数並んでいる。