毎日取り入れたい!【いい睡眠】のために知っておきたい「基本知識3つ」
睡眠が大事というのは聞き飽きているかもしれないけれど、やっぱり紛れもない真理! 他人事と思わずに「私もそうかも」と“自分ごと化”して、できるアクションを取り入れることが大切です。仕事や家庭の事情で難しいという人もいるかもしれないけれど、可能な範囲で意識してみて! 【不眠レベル診断】眠れない原因と対策方法を徹底解説!
教えてくれたのは…西野精治先生
医師・医学博士
いい睡眠は「最初の90分」がキモ!
西野先生 短時間睡眠にはデメリットが多々ありますが、睡眠は長ければいいというものではない。長さよりも質にこだわることが重要です。眠りには、レム睡眠(脳は起きていて体は眠っている)とノンレム睡眠(脳も体も眠っている)があり、睡眠中はこの2つを交互にくり返しています。寝てすぐに訪れるのはノンレム睡眠で、最初の90分がもっとも深い眠り。ここが深ければ深いほど、全体の睡眠リズムが整い、すっきりと起きることができます。自律神経やホルモンの働きも良くなり、脳のコンディションも整えてくれる。アンチエイジングに効果があるとされる成長ホルモンも、眠り始めの90分でもっとも多く分泌されます。睡眠の質のカギを握る“黄金の90分”といえるでしょう。 【OK アクション】眠くなったらとりあえず寝てしまう! 仕事などで夜中にやらなきゃいけないことがある場合、「終わらせてから寝たい」という気持ちもわかるけれど、眠気を感じるのならひとまず寝てしまうのがおすすめ。黄金の90分が終わり、眠りが浅くなったタイミングで起きて、仕事に取りかかりましょう。睡眠時間が極端に少なくても、深く眠れた分、質を担保することができます。仕事を終えてから明け方に寝ると、脳が興奮しているので入眠のタイミングを逃してしまいます。“黄金の90分”も現れず、寝た気がしない……という事態に。
温度調整がめちゃくちゃ大事!
西野先生 体温は眠りのスイッチ。スムーズに眠るためにも、質を高めるためにも、重要な役割を果たします。体内部の体温である“深部体温”は、日中は温度を上げて体の活動を維持して、睡眠中は温度を下げて臓器や筋肉を休ませています。一方、手足など表面の“皮膚体温”は逆で、日中に低く、夜になると高くなります。起きているときは、深部体温のほうが皮膚体温よりも2℃ほど高くなっていますが、入眠時は深部体温と皮膚体温の差を縮めることがポイントに。 手足から熱をきちんと放散して深部体温を下げることが、質の良い睡眠につながります。そして、どんなに素晴らしい寝具を使っていても、室温を整えておかないとメリットを引き出せません。湿度が高く暑いと熱放散が妨げられ、体温は下がらず、寒くても血行が悪くなり熱放散が行われなくなる。エアコンなどを上手に活用しましょう。 【OKアクション】寝る90分前に入浴する 深部体温と皮膚体温の差をより縮めるために、とても有効なのが入浴。40℃のお湯に15分つかると、深部体温が約0.5℃上がるとされています。深部体温には、上がった分だけ大きく下がろうとする性質があり、意図的に上げておくことで入眠時にはグッと下降。眠りのスイッチがONになり、熟睡にもつながります。実験的には0.5℃上がった深部体温が元に戻るまでにかかる時間は約90分なので、寝る90分前に入浴を済ませるのがベスト。忙しくて「そんなの無理!」という人は、深部体温を上げすぎないようにシャワーで済ませて。ちなみに、熱放散を活発にしてくれる足湯も効果的!