「若い頃に置き忘れた人生を取り戻したかった」 相川七瀬さん、40代で見つけた「ロック以外の新しい人生の軸」
――海外で日本の心について知る機会を得たという。 それまでは、海外の聖地と呼ばれるような場所を旅するのが好きだったんです。たとえば、ネイティブアメリカンの聖地・セドナとか。それまで聖地は遠くにしかないと思っていましたけど、日本にこそあるんだと。日本ってすごい神の国なんだと気付かされて、ツアーのたびに全国の神社を巡り、その土地の神社のお祭りにも参加するようになりました。 ■伝統を残していくことに関わっていきたい
――近年は、神社を巡ることもブームになっていますが。 私の神道への興味は1998年から始まりました。御朱印帳も今でこそカラフルで可愛いものが揃っていますけど、私が集め始めたのは、渋い本格派の御朱印帳しかなかった時代ですね(笑)。20年前からプライベートで神社巡りしているから、そこで出会った神職の方々も、次第に役職が上がって宮司になっていたり、ご子息が私と同級生だったり、人生面白いなと思います。 20代の頃から、神道が私の中で一本の筋としてあった中、30代の時に、赤米の神事に出会いました。歌手としては伊勢神宮で歌わせていただく機会もいただいた。40歳になる頃には、ロック歌手としての顔だけではなく、和の曲を歌う自分とも並走するように生きていくんだなという覚悟のようなものが自分の中に芽生えていました。だから、神事やお祭りについて学びたいし、この伝統を残していくことに関わっていきたいと、フツフツと思い始めたんです。
――40代から新たな道を切り拓いたものの、その糸口はもうずっと前からあったんですね。 ホントに不思議なご縁だなと思います。 ――神道を学んでよかったこと、人生への影響はありますか? たくさんあります。歌手としては、大学に通う以前、10年以上前に神道からもインスピレーションを得た『今事記』というアルバムを出しています。これは東日本大震災を経験したことも大きくて。あの未曾有の事態で、「私は何のために歌っているのか?」と自問自答した末に、ロックな歌のみならず、40代は人の心に寄り添える歌も歌いたいなと思って作った、静かで精神的なメッセージを込めたアルバムです。