鳥獣被害2億4877万円 4割近くがイノシシ、23年度の和歌山県内農作物
和歌山県は、2023年度の野生鳥獣による県内の農作物被害額は2億4877万円だったと発表した。被害額は4年連続の減少。前年度から約1200万円減った。イノシシによる被害が最も多く、4割近くを占めている。 【ウミガメふ化率を調査 ライオン社員が協力、和歌山県みなべ町千里の浜の記事はこちら】 作物別の被害割合は、果樹76%、野菜12%、水稲6%。鳥獣別で被害額をみると、イノシシが最も多い9328万円(37・5%)で、シカ5348万円(21・5%)、カラスやタヌキ、アナグマなどその他4103万円(16・5%)、サル3736万円(15・0%)、アライグマ2359万円(9・5%)と続く。 前年度と比べて、イノシシが13万円増と微増だったほかは減少し、アライグマ522万円、サル450万円、その他218万円、シカ45万円の減だった。 紀南地方の市町村別の被害額は多い順に、田辺市3127万円、印南町1170万円、那智勝浦町612万円。田辺市は獣種別で、サル1132万円、シカ979万円、イノシシ234万円などだった。 この10年でみると、15年度が最も多い3億4304万円で、その後は減少傾向にあり、20年度からは3億円を下回っている。 県鳥獣害対策課は被害額減少の要因について、農地を柵で囲うなどの防護や捕獲など地道な対策の効果や、近年では伝染病の豚熱の感染がイノシシに広がったことがあるのではないかとみている。 県は、イノシシ、シカ、サルの管理を目的にした「第2種特定鳥獣管理計画」(22~26年度)を定め、農作物被害額は計画の最終年度にイノシシが9千万円以下、シカが2900万円以下、サルが2900万円以下を目標にしている。 同課は「被害額自体は減っているかもしれないが、被害額は多く、生産者には厳しい状況で楽観はできない。どんどん捕ってはいるが、目標数には届いていない状況。特効薬はないので、一層の捕獲を図り、防護を強化するなどの対策で抑えていきたい」としている。
紀伊民報