40年前から大流出 世界で最も迫害された“民族”ロヒンギャなぜ解決しない?
スー・チー氏もロヒンギャ難民帰還受け入れを表明
ことしになってロヒンギャ問題の波紋は、さらに広がりをみせています。2月、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が治安部隊にロヒンギャ迫害の即時停止を要請。スー・チー氏は9月、初めてロヒンギャ難民の国内帰還受け入れを示す演説をし、11月にはロヒンギャと軍が衝突したラカイン州を初視察するなど、ようやく国際社会を意識した動きをみせました。 ただミャンマーでは、民主化はまだ道半ばで、国会の議員定数4分の1は国軍司令官の指名枠があるなど、実際にはまだ軍が政権運営で強い影響力を持っています。スー・チー氏が就いた国家顧問は、ミャンマーの憲法で軍(国防)と警察(国内治安)、国境問題に対する指揮権がないと定めていて、指導者としてできることに限りがあるのが実情です。またミャンマー仏教指導者たちはロヒンギャに強い拒否感を示し、世論も反感が強く、自国民としての迎え入れは決して簡単ではありません。 国連のまとめではバングラデシュに逃げ込んだロヒンギャ難民はこの3カ月で60万人以上に上るといいます。2014年の国連によるミャンマー人権状況調査報告で「世界で最も迫害を受けている少数民族」と評されたロヒンギャ。問題解決の糸口はまだみえていません。