琵琶湖で新種の「ボルボックス」発見 緑藻の一種で古代湖での新種発見は「世界初」
国立環境研究所琵琶湖分室(大津市)は、このほど緑藻の一種「ボルボックス」の新種を同市柳が崎の琵琶湖南湖で発見した、と発表した。100万年以上前から存在する古代湖でボルボックスの新種が見つかるのは世界初といい、「ボルボックス・ビワコエンシス」と名付けた。 【写真】長いとげを持つ受精卵 ボルボックスは多くの細胞が集まって球状の体をつくる生物で、光に向かって泳ぐ性質がある。同分室が2022年10月の水質調査で採取したボルボックスを培養し、有性生殖させてできた受精卵を分析すると、これまでに見つかった種とは異なり、とがった長いとげを持つ特徴があることを確認。DNA解析でも未知の種であることが分かった。 同研究所による琵琶湖での水質調査は13年からほぼ毎年続けられてきたが、ボルボックスの新種は発見されていなかった。同研究所は「ビワコエンシスは琵琶湖の限られた水域で、特定の時期にだけ出現する可能性を示唆する」としている。 同研究所は、今回の発見が琵琶湖の環境を考える機会になることも期待する。南湖では夏場にアオコが発生することが知られるが、ボルボックスは強い光や澄んだ水を好む。「今後、環境が改善されればビワコエンシスの繁殖や別の新種発見もあり得る」とする。 成果は米国の科学・医学誌に掲載された。