ブックライブ・書店員すず木さんの「いま人に薦めたい愛読マンガ」8冊「夢への情熱を再燃させてくれる作品」
人生で思わず夜ふかしして読んでしまったマンガは?
◆『ランド』山下和美/講談社 江戸時代末期から大正時代ごろの日本を思わせる世界観。山間にある農村に暮らす少女・杏が、禁忌とされる「山の向こう」や、人間を常に見張っているという、四方を囲む神に隠された真実を探ろうとするSFファンタジー。 「読み始めの印象と中盤~終盤とがまったく異なる作品。『なんだこれは!? 』の連続で、途中で読むのをやめることができず、一気読みしました。読了後のえらいものを読んでしまった……という感覚は未だに覚えています」 ◆『吉祥寺少年歌劇』町田粥/祥伝社 「吉祥寺少年歌劇」の出演者を養成する「吉祥寺音楽学校」が舞台。理想と現実の間に悩みながらも、舞台を夢見て成長していく少年たちの姿を描いた青春物語。 「男子のみで構成される伝統の歌劇団という、いわゆる男性版『宝塚』な物語。どのキャラクターもそれぞれの物語が丁寧に描かれており、さまざまな想いを抱きながら舞台に上がることを目指し、壁にぶつかり、苦しむ姿はとてもリアルで心が震えました。少年たちの成長が尊すぎる作品です。 読み終わった後も彼らの今後や色々なストーリーに勝手に思いをはせていたらあっという間に時間が……。さらに1巻が出たタイミングで続刊が出ると思っておらず……2巻目が出た時は狂喜乱舞しました!!」
書店員すず木さんの「マンガを読むときのマイルール」
「マンガを読むのが日常行為になっており、とくにルールやルーティンがありません……。かまえず気が向いたときにふと読む。それが良いのかも……!」
今、最も注目している新人作家とその作品は?
◆『思春期姉弟』みそくろ/ワニブックス 思春期を迎えた中学校2年生の男女双子、日野陽介とみかげを軸に描く青春コメディ。 「新人とは思えぬ描写力とキャラクターの表情の豊かさです。本作はフェティシズムがテーマになっている作品なのですが、フェチ表現が非常に個性的。登場人物それぞれが思春期を迎え、心と体が大人になっていくなかで覚醒するフェティッシュの世界が瑞々しく、かつ大胆に描かれています。マンガ通にこそ読んでいただきたい作品!!」