最低賃金1500円に向け「政労使会議」開催へ 実現には曲折も
石破茂政権は、政府・労働組合・経済界の代表が集まる「政労使会議」を近く開き、最低賃金を引き上げるための具体策を練る方針を固めた。来月にもまとめる総合経済対策に盛る。石破首相は1時間あたりの最低賃金を2020年代に全国平均で1500円にしたい考え。だが、現状から4割超の引き上げとなり、曲折も予想される。 【写真】新しい資本主義実現会議で発言する石破茂首相(右端)=2024年10月30日午後5時52分、首相官邸、岩下毅撮影 政府は30日、労働組合の中央組織・連合の芳野友子会長や日本商工会議所の小林健会頭らがメンバーで、経済政策を議論する「新しい資本主義実現会議」(議長・石破首相)を開き、経済対策に入れる重点施策を決めた。最低賃金の引き上げについて、「早急に、政労使の意見交換を開催し、議論を開始」と明記した。ただ、引き上げ額や時期の目標は示さなかった。経済界の一部から出ている反発に配慮したとみられる。 首相は会議の最後で「先の衆院選でも賃上げを求める強い声があった。政権として最優先で取り組んでいく」と明言した。会議終了後、出席した日本商工会議所の小林健会頭は記者団に「(最低賃金の引き上げで)一番心配なのは、支払い能力がなくなって企業が退出してしまうこと。とくに最低賃金でしか雇えない地方の企業」と語った。経団連の十倉雅和会長は「あんまり乱暴なことをやると、路頭に迷う人とか、経営者も困る。早く(大幅な引き上げが)可能な環境を整備していくということが大事」と述べた。
朝日新聞社