ハースF1退団の衝撃 ギュンター・シュタイナー 「電話1本で解任」のわけ
ゼロからF1チームを作った男
1月10日、レッドブルのクリスチャン・ホーナー、メルセデスAMGのトト・ヴォルフに次いでF1で3番目に長くチーム代表を務めたハースのギュンター・シュタイナーが、突然の退任を表明した。 【写真】フェラーリのパーツで戦うハースF1マシン【2023年シーズンを戦ったハースVF-23を写真で見る】 (4枚) 最近、パドックのあちこちで流動的な人事が見られるが、シュタイナーは単なる雇われ経営者ではなくチームの中心人物だっただけに、離脱のニュースは衝撃的だった。 かつてジャガーとレッドブルに在籍していたシュタイナーは、白紙の状態からF1チームを立ち上げた。 フェラーリとダラーラから可能な限り資材を調達し、少人数のフルタイムスタッフを抱えるというコンパクトなチーム運営を提案し、工作機械王ジーン・ハースを説得して出資にこぎ着けた。 こうして設立されたハースF1チームは、2016年のデビューレースでロマン・グロージャンが6位に入り、センセーショナルなスタートを切った。その2年後にはコンストラクターズ選手権で5位という驚異的な成績を収めた。 しかし、その後は他チームの台頭により厳しい戦いが続き、2020年にはパンデミックに見舞われた。2023年、ワンラップのペースは良かったものの、10位と最下位に転落した。 ■衝撃の退団 直近の3年契約が12月末で切れると同時に、彼はジーン・ハースから残留はないと告げられた。 「彼が電話してきたんだ。突然のことだった。わたしは、『オーケー、何を話したいんだ?』という感じだった」 「彼は『契約を延長したくない』と言った。わたしは『最終的には、あなたが決めることだ。あなたのチームだし、契約も切れる。わたしには何もできない。何を言おうと、あなたは反対するだろう。この話はここまでにしておこう』と言った」 「とても短い電話で、大きな話し合いでも何でもなかった。とても不思議な感じだった。10年も一緒に仕事をしていて、そんな電話がかかってくるなんて……不思議なこともあるものだ。わたしは大丈夫だった。ただ前に進むだけ。大丈夫。とにかく、そこで起きていることがもう信じられなくなった」 2人は進むべき道について根本的な意見の相違があった。シュタイナーはライバルチームがファクトリーインフラを増強していることをはっきりと理解しており、それに追いつくためにさらなる投資を求めていた。