F1、ジャンプスタートの取り締まりを強化。完全センサー次第だったルールを微調整
FIAは、各チームとの話し合いを経て、ジャンプスタートに関するF1の規則を改訂した。 F1ではこれまで、ジャンプスタートはスタートの合図が出される前にFIAが車両に装着したトランスポンダーが車両の動きを検知したかどうかですべてが判断されていた。 そのため、スタート前にマシンが静止していないように見えたとしても、トランスポンダーが検知しなければペナルティが出されないことになっていた。 最近問題になった例は今年のサウジアラビアGP。ランド・ノリス(マクラーレン)がスタートシグナルが消える前にほんのわずかに前進し、すぐに止まった後、スタートシグナルが消えて”再スタート”を切った。この件はスチュワードによって調査されたが、トランスポンダーはノリスの動きを検知しておらず、ペナルティを科す根拠はないと判断された。 しかし先週のF1委員会で各チームのスポーティングディレクターとチーム代表が話し合った結果、レギュレーションは直ちに強化されることになった。 改正されたF1競技規則の第48条は、これまで『INCORRECT STARTING LOCATION(間違ったスタート位置)』とされていたタイトルが『FALSE START(スタート違反)』に変更。さらに48.1条 a)項の文言が変更されている。 スタート時のペナルティについて定めたこの部分には当初『スタートシグナルの前に動いた場合。これは各車に装着されたFIA公認のトランスポンダーによって判断される』と記されていた。 改訂後はトランスポンダーに関する文言が削られ、『ライトの点灯から4秒後、かつすべてのレッドライトが消えてスタートシグナルが消える前に、第44.10条 b)項に規定されているように動いた場合』ペナルティの対象になると変更されている。 この第44.10条 b)項には変更は入っておらず、『フォーメーションラップが終了しグリッドに戻った車両は、エンジンをかけたまま各スターティンググリッド内で停止しなければならない』と定められている。 つまり、たとえトランスポンダーのデータがマシンが停止していたと示していたとしても、映像証拠などを確認したスチュワードがスタート直前にグリッド内で停止していなかったと判断した場合、ペナルティの対象となるということだ。 ノリス以外にも、ここ数年スタートシグナルが消える前に動いたように見えてもペナルティを免れた例もある。2019年、当時フェラーリでレースをしていたセバスチャン・ベッテルもトランスポンダーのデータを根拠に、ノリスのようにペナルティを受けずに済んでいる。