名瀬第二合庁が開所 利便性向上、地方防災拠点に 奄美市
国土交通省九州地方整備局が2022年度から鹿児島県奄美市名瀬矢之脇町で整備を進めてきた名瀬第二地方合同庁舎の開所式が20日、同庁舎であった。新庁舎には既存施設の名瀬地方合同庁舎(奄美市名瀬長浜町)に入居する鹿児島財務事務所名瀬出張所に加え、鹿児島地方気象台名瀬測候所と奄美海上保安部を集約。官署施設の利便性向上、地方防災の貢献に期待がかかる。 現庁舎の名瀬地方合同庁舎は1987年に建設され、老朽化や耐震性不足、狭さなどが課題となっていた。奄美海保と名瀬測候所の施設はいずれも50年以上が経過しており、国交省は防災官署の集約化による防災拠点としての役割や地域連携の推進、まちづくりへの寄与などを目的に22年10月、第二合同庁舎の整備に着手。今年10月に竣工(しゅんこう)した。総事業費は約25億円。 第二庁舎は鉄筋コンクリート造6階建て。延べ床面積は3021平方メートル。敷地面積は4207平方メートルで、敷地内には駐車場や名瀬測候所の気象観測設備などを備える。1階には奄美海保の船艇用品庫やエントランスを確保し、3階の一部に鹿児島財務事務所名瀬出張所、2~4階は奄美海保、5階は名瀬測候所が入居する。屋上には津波避難スペースや発電機器などを設ける。 20日にあった開所式には、入居官署の3機関、県、奄美市などから約50人が出席。九州財務局の井秀典総務部長は「海の玄関口のシンボルタワー的存在になることも期待され、まちづくりや観光振興に役立つ庁舎、人と人がつながる庁舎となるよう尽くす」と式辞。奄美市と鹿児島財務事務所名瀬出張所が、津波発生時の緊急避難施設としての使用に関する協定を締結したことにも触れ「地域防災の役に立つことができると考えている」と述べた。 福岡管区気象台の本間克幸総務部長、第十管区海上保安本部の岡野勝総務部長のあいさつに続き、安田壮平奄美市長(代読)と松藤啓介県大島支庁長が来賓あいさつ。閉式後には関係者による内覧もあった。 第二合同庁舎での業務開始は、名瀬測候所が28日。26、27の両日は、気象観測機器などの移転作業を行う。奄美海保は12月10日、鹿児島財務事務所名瀬出張所は来年1月14日の業務開始となる。 移転後の庁舎取り扱いについて、奄美海保が入居する同市名瀬入舟町の庁舎は財務省が解体し、跡地の利活用を検討する。名瀬測候所が入居する同市名瀬港町の庁舎は土地と建物を奄美市が購入する。 名瀬地方合同庁舎に入居する厚生労働省名瀬公共職業安定所(ハローワーク)や農林水産省門司植物防疫所名瀬支所など7機関のうち、財務事務所名瀬出張所を除く6機関については、同庁舎で業務を継続する。