フジロックが送り出す大注目の新鋭バンド、USが語る溢れんばかりのロックンロール愛
ギャズ・メイオールとの交流、フジロックへの思い
─さて、今日はメンバー全員が揃ったので、それぞれお気に入りのミュージシャンを挙げてもらってもいいですか? 自分の担当楽器と、それ以外のパートでも。 マックス:僕が好きなギタリストは、絶対的にジミ・ヘンドリックス! あと、エリック・クラプトン、スティーヴィー・レイ・ヴォーンも好き。ギター以外では……(しばし沈黙)……ギター・ミュージックばかり聴いているのが問題だな(笑)。シンガーではロバート・プラント辺りが好きだよ。 パン:僕の好きなハーモニカ・プレイヤーは……ジェイムズ・コットンかな。それからポール・バターフィールド。どちらも素晴らしいハープ・プレイヤーだよ。よく聴いているんだ。他の楽器のミュージシャンを挙げるとすれば……ドラマーのリヴォン・ヘルムからは大きなインスピレーションを受けているね。ファンタスティックなドラマーだし、ステージにたくさんの情熱をもたらす人だった。 テオ:僕もギタリスト、そしてソングライターとして、ザ・バンドのロビー・ロバートソンからものすごく大きな影響を受けているよ。ボブ・ディランも素晴らしいソングライターだよね。それは間違いない。他の楽器だったら……ジンジャー・ベイカーかな。彼のドラミングがすごく好きなんだ。 ラスムス:僕が今好きなベーシストは、HurriganesのCisse Häkkinen。フィンランドのバンドのベーシストなんだけど、彼のアティテュードがいいし、ステージ上での存在感が圧倒的なんだ。ベーシスト以外では……テオに取られちゃったけど、僕もボブ・ディランだな(笑)。彼のソングライティングは超一流だよね。アコースティックギターと歌だけで成立する良い曲は、どうアレンジしても良い曲になると思う。 ─USのライブでもボブ・ディランの曲をカバーしていますよね。 テオ:そう、彼がオフィシャル・アルバムに入れなかった「I Wanna Be Your Lover」という曲をやっているんだ。実は1stアルバムのセッション中にもレコーディングしたんだよね。結局今回のアルバムには入ってないけど(笑)。 レーヴィ:僕の好きなドラマーは……フュージョン・ドラマーのデイヴ・ウェックルだね。チック・コリアのエレクトリック・バンドに参加していたし、ソロ作も出している。若い頃によくフュージョンを聴いていて、今も聴いているよ。あと、さっきも挙げたけどジョン・ボーナム。ドラマー以外だと……多分プリンスかな。彼のスタイルが本当に好きなんだ。オールラウンド・プレイヤーで、とてもカリスマ性があると思う。 ─なるほど、メンバーの嗜好の多彩さがよくわかりました。ところで、このUSという新しいバンド名を思いついたのはギャズ・メイオールだそうですね。彼とはどのように知り合ったんですか? マックス:僕らがフィンランドからメールを送ったんだ。 テオ:そう、彼のクラブでプレイさせてくださいって。 パン:後でギャズから言われたんだけど、グランドマザー・コーンっていうバンド名が悪い意味で印象に残ったらしい(笑)。だけど僕らの音楽は気に入ってくれたんだ。彼が僕らに「クラブでプレイしてほしい」と言ってくれるなんて、サプライズだったよ。 テオ:あちこちに売り込んだけど、反応してくれたのはギャズだけだった。素晴らしいことだったよ。彼がいなかったらここまで来るのにもっと時間がかかっていただろうし、そもそもイギリスまで進出できていたかもわからない。で、初めてイギリスへ行って彼のクラブでプレイしたとき、ショウの後でギャズが「君たちのことはすごく気に入ったけど、ひとつ注文をつけたい。君たちはUSと名乗るべきだ」と言ってきたんだ。初めはジョークだと思ったよ。でも何故か全員の頭にその発言が残っていた。それでもしばらくの間はグランドマザー・コーンとして活動してたんだけど、フィンランドである冬の寒い日、みんなで道を歩いていたときに、突然「待てよ、USって素晴らしい名前じゃないか? 僕らはUSと名乗るべきだ」と言う話になったんだ(笑)。それで決まりだった。そのときUSが結成されたようなものなんだよね、レーヴィがドラムスで加入したから……だからUSはグランドマザー・コーンとは別物のバンドなんだ。グランドマザー・コーンはビートルズでいうところのクォーリーメンにちょっと似ている感じかな(笑)。 ─あなたたちのサウンドは日本のクレイジーなオーディエンスにとても歓迎されそうな気がします。すでに海外ではロックフェスをいくつも経験していますが、フジロックではどんなライブで楽しませてくれるんでしょう? テオ:全力を尽くすのは間違いないよ。それに今回日本に行くのはとてもスペシャルなことだから……。 マックス:セットリストもスペシャルなやつにするかも。 テオ:そうだね、そうしようかと思っているよ。そして……ベスト中のベストを尽くすんだ。 ─ちなみに日本について知っていること、興味があることは何かありますか? パン:実は僕らのうち、マックス以外の4人は日本に行ったことがあるんだ。僕とテオは何年も前に行ったことがあるよ。6年くらい前だったっけ? テオ:そう、家族と京都に行ったんだ。僕の大好きな映画監督のひとりが黒澤明でね。いつか映画のロケ地にも行ってみたいと思っているよ。 ─黒澤監督の映画ではどれが好みですか。 テオ:子供の頃に初めてちゃんと観た映画が『七人の侍』だった。 パン:テオはその頃、確か4歳くらいだったんじゃないかな? テオ:そう、4歳か5歳。それから20回は観たよ(笑)。ほとんど毎年のようにね。本当に素晴らしい映画だと思う。他の作品もいろいろ観た。フィンランド語で「赤いひげ」と訳されているタイトルの映画があるけど、日本ではなんて言うんだろう? ─間違いなく『赤ひげ』でしょうね。同じタイトルです。 テオ:そうなんだ! あと『影武者』も良かった……と言うか、彼の作品はほとんど観たと思う。どれも本当に気に入っているよ。 --- US 『Underground Renaissance』 配信・CD発売中 ※日本盤はボーナス・トラック1曲収録 解説・歌詞対訳付き FUJI ROCK FESTIVAL’24 2024年7月26日(金)27日(土)28日(日)新潟県 湯沢町 苗場スキー場 US出演ステージ ①7月26日(金) GREEN STAGE: ※ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA feat. トータス松本、TOSHI-LOW、後藤正文、GLIM SPANKY、USとして出演 ②7月26日(金) CRYSTAL PALACE TENT ③7月27日(土) GAN-BAN SQUARE supported by FEVER-TREE(アコースティックライブ) ④7月28日(日) RED MARQUEE
Masatoshi Arano