復調ゴールドマンのソロモンCEO、大型買収検討も-「成長の余地」
(ブルームバーグ): 米銀ゴールドマン・サックス・グループの株主は約1年前、懐疑的だった。同行の利益は低迷し、デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)はプレッシャーにさらされていた。だがソロモン氏は今、ほほ笑むことができる。
パリ近郊のベルサイユで開催されたフランスのビジネスに関する会議に出席した同氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、「良い時は気分がいい」が、「厳しい時ほど、物事はうまくいかない」と述べた上で、賢明な同僚が協力し合い顧客にサービスできれば「うまくいく」と語った。
ゴールドマンの株価は最近、上場来高値を更新。1-3月(第1四半期)のトレーディング好調やディールメーキング復活などが寄与している。
ソロモン氏によれば、新規株式公開(IPO)市場は長い低迷を経て「オープン」したが、IPO企業が「ますます少なくなっている」ことを懸念している。「心配だ。プライベートマーケットに潤沢な資本があるのは明らかだが、オープンかつ寛容で強力なパブリックマーケットを持つことは重要だと思う」と同氏は話した。
ソロモン氏は7-12月(下期)に活動レベルが持ち直すだろうが、「2021年中ほど堅調なものにはならない」との見通しを示す一方、企業の合併・買収(M&A)については熱意が回復していると指摘。年末までディール活動の水準正常化が進むと予想した。
ゴールドマンのリテールバンキング事業参入は不調に終わった。同行は昨年、この取り組みの解消を進め、ウォール街の中核事業であるトレーディングと投資銀行業に集中することで投資家の信頼回復を図った。よりシンプルな銀行に生まれ変わろうとするゴールドマンの基本に忠実なアプローチは功を奏している。
この戦略のもう一つの重要な点は、資産運用・ウェルスマネジメント事業の強化だ。ソロモン氏はゴールドマンには「成長の余地」があると強調し、大型買収を検討するつもりだが、「非常に重要な、あるいは変革をもたらすような」買収となると、そのハードルは非常に高くなるとの考えを示した。