種別越えた体育祭50年、共生社会実現の礎(大阪民間福祉共済会)
大阪民間社会福祉事業従事者共済会(大西豊美理事長=みなと寮理事長)が主催する民間社会福祉施設従事者体育祭の第50回記念大会が17日、大阪府枚方市のパナソニックアリーナで開かれた。従事者約1300人が13種目で競い、親睦を深めた。1000人を超える職員が種別を横断して集まるイベントは、全国でも例がない。大西理事長は「半世紀前から『種別を越える礎』を創ってきた」と話し、次代を担う中堅、若手職員にエールを送った。 ファンファーレが響いた。ピストルが鳴った。選手入場。先導は、京都の佛教大応援団本部チアリーダー。ファンファーレも応援団本部吹奏楽部だ。 民間共済会福利厚生事業運営委員会の伊山喜二委員長(南河学園理事長)は学生時代、佛教大で応援団長を務めた。その縁で後輩が応援出演した。 1975年11月に、松下電器体育館(現パナソニックアリーナ)で開催された第1回大会から50年。記念体育祭が幕を開けた。 スポーツなどの福利厚生事業は、52年10月に発足した大阪府社会福祉協議会従事者部会から73年に共済会に移行された。共済会が主催し、府社協の全種別部会や大阪市社協の関連団体が協力する体制になった。 大西理事長と伊山委員長は同い年で、同じ73年春に入職。従事者部会に入会して、ダンスパーティーや新任職員研修会などに参加。始まったばかりの体育祭にも参加して、従事者部会を主導していった。 伊山委員長は89年春から95年春まで従事者部会の部会長を務め、大西理事長もこの時、副部会長に就任。6年間、二人三脚を続けた。従事者部会は、会員資格から経営者や施設長を除き、種別を越えた中堅、若手の従事者で組織した。 一方、共済会は部会発足から7年後の59年7月に、従事者の福利厚生と退職金給付などの互助共済を目的に発足した。会員は今年4月時点で、約2200事業所、約5万2000人に上っている。 伊山委員長はその後、児童施設部会の部会長に、大西理事長は成人施設部会の部会長となり、正副部会長会議などで活躍した。 正副部会長会議も全国に例のない種別横断の組織で、60年に発足した。 府社協の全種別部会の正副部会長が出席、従事者部会の正副部会長も会議の席で「中堅、若手の声」を伝えることができる。 そして2019年6月、大西理事長が府社協経営者部会の部会長に就くと同時に、民間共済会の理事長に就任。共済会の福利厚生部門をけん引していた伊山委員長と、さらなる二人三脚が続いた。 「伊山委員長は若いころから天下一品の進行をした。福利厚生事業の最大の功労者だ」 大西会長は、伊山委員長の功績をこう振り返った。そして言った。 「地域共生社会を実現するキーワードの一つは、種別を越えた現場のつながり。その礎を、半世紀にわたって築いてきた。これから一層、生かす時」 新たな担い手が、体育祭をはじめとする大阪独自の種別横断の営みから育っている。