【立場逆転】息子が親である私を「扶養に入れる」と言っていますが、金銭面でメリットはありますか? そもそも、子が親を扶養にできるのでしょうか?
扶養は親が子どもに対して行うものだと思っていると、息子などから逆のパターンを提案されたときに戸惑うかもしれません。金銭面のメリットが分からず、そもそも可能なのか疑問に感じることもあるでしょう。 そこで本記事では、子どもから扶養に入れたいと言われた親を想定し、この提案を受け入れるかどうかの判断に役立つ情報を紹介します。
親が子どもの扶養に入る条件
条件さえ満たしていれば、子どもが親を扶養することは可能です。ただし、一口に扶養といっても、制度として主に所得税と健康保険の2種類があるので気を付けましょう。それぞれに関して代表的な条件を以下に紹介します。 ◆所得税に関する扶養の条件 子どもと親が生計を一にしていることが必須の条件です。同居中のケースだけでなく、別居して経済的に支援しているケースも当てはまります。 よって、介護施設で暮らしていても、それだけを理由として対象外になることはありません。また、親の年間の所得が48万円以下であることも条件の一つです。年金受給者なら公的年金控除を引いた金額で判定します。 ◆健康保険に関する扶養の条件 被保険者である子どもと親が同一の世帯で暮らし、生計が主に前者の収入で維持されていることが不可欠です。また、年間の収入に関しても条件があり、同居と別居では異なるので注意を要します。同居の場合は、親の収入が子どもの半分未満でなければなりません。 一方、別居の場合は、親の収入が子どもからの仕送り額を下回る必要があります。なお、親が60歳未満なら年収は130万円未満、60歳以上なら180万円未満であることは共通の条件です。
所得税に関する金銭面のメリット
子どもが親を扶養していると、年末調整や確定申告において扶養控除が適用されます。扶養控除とは、所得税の計算において、所得から一定の金額を差し引ける所得控除の一種です。適用後に税率をかけるため、その分だけ節税できるというメリットがあり、所得を用いて算出する住民税も安くなります。 差し引く金額は控除額と呼ばれ、70歳を境に同居の有無を踏まえて変わります。国税庁によれば、70歳未満の親は一般の控除対象扶養親族で、控除額は38万円です。70歳以上の場合は老人扶養親族に該当し、控除額は同居なら58万円で、別居なら48万円となっています。