「45歳の自分を想像できんかった」――独立からもうすぐ1年、錦戸亮の現在地
錦戸も今年の春、コロナ禍の影響を受けた。旧友にして盟友の赤西仁とともに、5月にハワイで開催予定だった「THE MEN IN THE ARENA」は中止に。独立1年目でのこの状況に、焦りや不安はないのだろうか。 「いや、もうしゃあないでしょう。この中で何ができるか、っていうふうに生きていくしかないと思いますし」 錦戸の動きはまたしても早かった。緊急事態宣言が出た4月には、赤西とYouTubeで「NO GOOD TV」をスタート。2人の阿吽(あうん)の呼吸を見る者に体感させた。山田孝之や小栗旬なども出演しているが、出演者の人選については、赤西に全幅の信頼を寄せる。 「赤西の人間性があって、みんな来てくれたんじゃないですかね。赤西が仲良くしてる人ってなったら、『じゃあ、きっといい人なんやろうな』という感じで、まず僕も仲間に入っちゃいますし」
「元〇〇」って絶対言われますから
そもそも錦戸には、自分が発するメッセージで他人を変えられるという感覚自体が薄い。 「僕自身が、人に『こうだよ』って言われたことを、あんまり信用してないっていうのがあるかもしんないですけどね。だって、僕は僕の人生を生きてるわけですから。友達にステーキ屋に連れていってもらって、『こんなうまいんや』って気づくときもありますし、でも、自分がうまいと思ったり、面白い、かっこいいと思ったものだけで、これまで自分の世界を回してきたんで。出会いじゃないですか、そういうのって、きっと」 そうした誰かの「出会い」の中に、自身がいたら嬉しいかと聞くと、「少しはね」と、驚くほど照れた様子を見せた錦戸。話題は過去の「看板」との向き合い方にも及んだ。 「歌っているときや演じてるときでも、色眼鏡をかけて見られてるところは、やっぱりすごい感じてたんで。『何やねん』と思いながらも、でも、看板があったからこそできたこともいっぱいあったでしょう。『元〇〇』って絶対言われますから。それは外れないことなんでしょうし、そこが恥ずかしいとも全然思わないです。ただ、その『元』って言われるのが、『現』の人たちはどう思うんやろうっていう、申し訳なさはちょっとあります。でも、これからは自分次第だと思いますし。そこで『あれ、意外とこんなやつやったんや』って、YouTubeを始めても言われることがあったんです。だから、まあ、工場出荷状態まで戻してないけど、1回再起動したぐらいな感じですかね」