「45歳の自分を想像できんかった」――独立からもうすぐ1年、錦戸亮の現在地
「あのジジイ、かっこいいな」って言われるぐらいに
独立後、錦戸のモチベーションは具体的にどんなものだったのだろうか。 「求められているものをやるよりもびっくりさせてあげたい。『あっ!』って思わせたいじゃないですか。それプラス、もっとすそ野も広げていけたらいいなとも思いますし」 それが「成功している」という手応えはあるのだろうか。 「分かんないです。『できてる』って言ったら寒いっすもんね。自分が良かったって思っても、来てくれた人がそう感じてくれてなかったら、そんな恥ずかしいことないじゃないですか」 ファンの現在の反応がすべてではないとも考えている。 「それがゴールじゃないと思いますからね。おじいちゃんになったときに、ええ感じに渋いバイクとか車に乗って、『あのジジイ、かっこいいな』って言われるぐらいになれてたら、そのプロセスは別に何でもいいです」 目指すところへ踏み出すその姿勢には、迷いが感じられない。 「迷ったことは別にないですね。迷ってる人の相談とかって、『おまえ、それ、ただ背中押してほしいだけやん』って思うときもありますし。相談できるレベルっていうことは、まあまあ自分の中で答え出てるんちゃうんかなと。僕がそうなんで」
SNSでは全然傷つく。頑張ろうって気にもならない
前事務所退所の翌日、2019年10月1日には、Twitter、Instagramなど、SNSを一斉に開設した。一方で、自分の名前を検索する「エゴサーチ」は極力しないようにしている。 「だって、文句言われてたら傷つくじゃないですか。マイナスの意見って大事なのかもしらんですけど、言われてる側からしたら全く何の力にもならへんし。それで『なにくそ!』ってなって、頑張ろうっていう気にも俺はならないですかね」 そんな錦戸の繊細さは、ローティーンから表舞台で活動してきたこれまでの姿からは想像しがたいものだ。 「全然傷つきますよ。ヤフーのニュースを見てたら、最後にコメント欄が出てくるじゃないですか。僕はオフにしてます」 錦戸が、SNSで誤ってファンをフォローしたこともニュースになる。メディアに一挙一動が報じられることをどう感じているのだろうか。 「え、これ、正直に言っていいんですか? 恥ずいんですよね。『そんなニュース、見せんといて』って思っちゃうときもあるんですけど。コロナでいろんなネタもないんかもしれないですけど」 SNSでは、ときには誤解を受け止める必要にも迫られる。 「Twitterやったらリプライが出てくるじゃないですか。『SNSがやりたくて退所したんですか』とか出てきたときもあったんですよ。わざわざ僕宛てに届けてくれて、『いや、違うよ』と、もう(笑)。でも、そういう時代なんでしょうね、今は」 「もししんどかったらSNSとか全部切っちゃうと思うんで。便利なツールではありますけども、その裏には、やっぱり弊害があるじゃないですか。ストレスのはけ口になっている感じもありますし」 そんな錦戸のストレス解消法は、「受け入れること」だという。 「引きずるときも、あるっちゃあるかもしれないですけど、やっぱり引きずるべくして引きずるんでしょうし、あきらめつくまでは考えますけどね。それでも無理ってなったら、さっきのSNSを全部やめちゃう話じゃないですけど、『もういい』って」