島の知恵生かす重要さ共有 東京で「未来のシマ共創会議」 離島の課題と可能性考察
離島の課題と可能性について考えるイベント「未来のシマ共創会議」が14日、東京都中央区の東京ミッドタウン八重洲であった。全国の30を超える離島からさまざまな方法で地域づくりなどに携わるキーマンのほか、企業団体の関係者など約300人が参加。人口減少や高齢化など課題が山積する時代に離島の暮らしや文化、知恵を生かしていくことの重要さを認識し合った。 イベントは、特定非営利活動法人離島経済新聞社(東京都世田谷区)などで組織する実行委員会が主催。国土交通省、内閣府総合海洋政策事務局が後援。離島経済新聞社の鯨本あつ子代表理事はあいさつで「全国で進む人口減少は『静かな有事』とも言われ、各地で病院や学校などがなくなる懸念もある。だが、島は可能性がある。こうした危機感を島同士で共有でき、課題先進地として日本や世界に発信していけることだ」と、離島同士が有機的につながっていく大切さを述べた。 「理想の共創」をテーマにしたカンファレンスでは、鹿児島県奄美大島のコミュニティーラジオ局「あまみエフエム」放送局長の麓憲吾さんが、哲学者の内山節さんらと対談。内山さんは「近代化は、合理的な社会に統一しようとした歴史だが、方言や祭りなど非合理的なものにこそ地域づくりのヒントがあり、価値がある。それをどうやって戻すかがシマの課題であり、世界の課題だ」と指摘。麓さんは「外から見た島の課題として指摘されるのは制度やシステムが多いが、内から見た課題は心や人間同士の関係性が多い。外と内から見える島の課題を共有し理解し合っていく必要がある」と訴えた。 そのほかカンファレンスでは、防災や人材確保、離島のお金の循環などのテーマでそれぞれの登壇者と参加者が議論し合った。サイバー大学教授で大和村地域創生推進アドバイザーなどを務める勝眞一郎さん=奄美市笠利町=が進行役となって離島の人材不足や子育ての課題を議論するワークショップも開かれた。会場では各離島の物産などを販売するコーナーなどもあり、参加者同士が交流を深めていた。