ギガキャスト採用、ポルシェ・タイカンそっくりのシャオミSU7の衝撃
シャオミのギガキャスト
ボディ後半はギガキャストを採用、パワー半導体はSiC、CD値は0.195、XiaomiOS(スマホ)との連携……まずは、ベースグレードとProからのデリバリーとなるようだが、投入されたテクノロジーを考えると、どう考えても割安だ。それもそのはずで、テスラModel3よりも3万元も安いこの販売価格で利益は出ない。一説では、SU7を売れば売るほど赤字が出るという。現在、年産15万台の能力を持つ工場を30万台へと増強する計画を持つシャオミは出血覚悟で数年後に自動車業界でのポジションを獲りに来ている。闘いはなかなかに壮絶だ。 シャオミSU7のリヤは、アルミ一体鋳造成形した部材が使われている。いわゆる「ギガキャスト(あるいはメガキャスト)」である。 シャオミによれば、自社開発した「Xiaomi Hyper Die-Casting T9100クラスター」で実現するギガキャストは、中国メーカーで唯一大型ダイカストと材料を同時に自社開発したものだという。Xiaomi Titans Metalを9100トンでプレスし、従来なら72個の部品を1部品に統合。溶接箇所を840箇所減らし、車両重量を17%削減する。また、生産時間を45%短縮するという。耐久性は200万km以上。 ギガキャストの課題であるリペアビリティについては、どう克服したのかいまのところ不明だ。シャオミだけでなく、ZEEKR(吉利汽車ジーリー傘下の高級BEVブランド)などもギガキャストを採用していた。 ブースには、V6(ベースグレード用)220kW/400Nm、V6s(Pro用)275kW/500Nm、V8s(MAX用)425kW/600Nmの3つのモーター(自社開発のHyperEngine)を展示していた。V8sは2025年に市場投入予定。双方向フルオイル冷却技術、S字型オイル回路設計、千鳥配置のケイ素鋼板積層設計などの革新的技術を採用しているという。さらにはカーボンスリーブローターを採用する3万5000 rpmのモーターも研究開発中だという。 闘いはなかなかに壮絶だ。
鈴木慎一