<ボクシング>八重樫、最強レフェリーとタッグで3階級制覇狙う!
「土居さんにも話をして“土居トレ”を休ませてもらうことに納得してもらいました。これまでは、土居さんの厳しいトレーニングに耐えることだけで満足してしまったことがあるんです。勝つためには、何かを変えなければならなかったし、そんな自分から脱却しなければならなかったんです。自分で自分をコントロールする力が必要でした。 それと厳しいトレーニングに取り組むと筋肉が肥大します。でも、今回はライトフライ級です。そうなると今ある筋量を増やすのではなく、パワーの出力を増す方法を模索しなければなりません。つまり体の使い方ですね。色々と調べている最中に、知人を通じて和田さんと知り合いました。和田さんと野木さんも親交があり、トレーニング理論も共通しているんです。でも和田さんが、格闘界でそんなに有名なレフェリーの方と知りませんでした(笑)」 理由は2つあった。ひとつはマンネリからの脱却。メンタルの部分だ。過酷な土居トレは、それを消化するだけで精神的な達成感を得る。それが自信になるのだが、もう32歳。ガムシャラに自信を植え付けるための練習ではなく、自己を管理し、時にはペースを落とすことも必要だった。そして、トレーナーを変えることで、また新しい知識を得て、何のためにフィジカルを鍛えるのかの目的意識を再確認しておきたかった。「土居トレで、ベースができているからこそ、そういうチャレンジができたんです」とも言う。 そして、もうひとつの理由はメンドサ対策だ。 チャンピオンは、24勝(19KO)2敗1分の高いKO率を誇るメキシカン。スピードボクシングも接近戦もできる万能タイプで、しかも、八重樫が不得意なサウスポーだ。右のリードブローの手数が多く、角度やタイミングを変えながら左のパンチを当ててくる。 八重樫が抱く、この試合の勝利イメージとしては、「同じサウスポーなら五十嵐のほうが動いた。さばくこともできすし、相手のペースにせず、ごちゃごちゃして判定で勝つのが理想」というもの。そのボクシングを実現するためには押し負けることはできない。フィジカル勝負だ。しかし反面、厳しい減量がついて回る。体の使い方という新境地に飛び込む決断を八重樫がしたのも無理はなかった。