開催迫るG20大阪サミット、G7とは何が違う? 坂東太郎のよく分かる時事用語
ハイライトは米中首脳会談か
それにしても「すごい顔ぶれ」が短期間に大阪へ集まるなあと改めて感心します。トランプ大統領、習近平国家主席、プーチン大統領、メルケル首相、エルドアン大統領(トルコ)、サルマン皇太子(サウジアラビア)……。濃すぎるメンバーですね。まるで筒井康隆の『日本以外全部沈没』の世界。米中貿易摩擦のように世界が注目する話題以外にも、地域ごとの固有のテーマについて活発な首脳外交が展開されそうです。 同時に、これだけ濃い方々が国を背負って来るのですから、一点に絞ったクリアな合意というのはなかなか難しく、玉虫色に落ち着かざるを得ないという側面があることが、近年、G20の弱点と指摘されています。関係国が増えるとまとまらないという構図は、WTOやEU、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)などで何度もみられるのです。 むしろ首脳会議よりトランプ・習近平の両氏がサシで話し合う米中首脳会談こそハイライトではないかという声も少なくありません。 考えてみれば今日のG7の原型であるランブイエサミット開催の要因がドル・ショックで、初のG20首脳会議の誘因がリーマン・ショック。どちらもアメリカの経済的変調が動機となっているのを考え合わせると、今回の首脳会議でアメリカ発の貿易紛争が注視されるのも歴史の必然なのかもしれません。 ---------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など