石破新政権に「安倍カラー」払拭を期待する韓国
岸田文雄首相の後継を決める自民党総裁選で、2024年9月27日午後、石破茂・元幹事長(67)=無派閥=が第28代総裁に選出された。10月1日召集の臨時国会で、石破氏は第102代首相に選ばれる。 これに胸をなで下ろしているのが、尹錫悦大統領をはじめとする韓国政府の関係者たちだ。石破氏の当選というよりも、高市早苗・経済安全保障相(63)=無派閥=を首班とする政権を何とか避けられた、というのが本音だろう。
尹氏と盟友といえる関係を築いた岸田氏が退陣し、強い「岸田ロス」状態にあった尹政権だが、石破政権の発足に、新たな希望のあかりがともりつつある。 ■「歴史認識のハト派」政権の誕生と報道 「1回目の投票の地方票が、石破氏より高市氏に多く出た時は、駐日大使館の予想が早くも外れていて、もうダメかと思った。決選で石破氏が逆転した時は、思わず、やったと叫んでしまった」 自民党総裁選が終わって数時間後、日本通の韓国政府関係者は、電話越しながら興奮気味に喜びを語った。
別の韓国政府当局者は石破氏の選出後、メディア向けにすぐ「新たに発足する日本の内閣と緊密に連絡をとりあい、韓日関係の肯定的な流れを続けていくために引き続き協力していく」と表明した。 韓国メディアも次々に速報を配信した。正確には、臨時国会で選ばれてから首相に就くが、早々と「日本 次期総理に石破茂・元幹事長」(東亜日報)などと報じた。 また、「日本 次期総理に『韓日歴史認識のハト派』 石破茂」と、歴史問題で韓国に強硬な態度であたった安倍晋三政権とは違う認識を持つ政治家であることを強調する報道が目立った。
韓国政府で長く日本を担当してきた当局者やメディア関係者らが持つ石破氏のイメージを考えると、当然といえる伝えた方だろう。石破氏といえば、かつての歴史認識関連の発言を覚えている人が少なくないためだ。 例えば、通信社の聯合ニュースが配信した関連記事に如実に表れている。 2019年8月に安倍政権(当時)が韓国に事実上の経済制裁を科し、これに反発した韓国の文在寅政権(同)が、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長破棄を発表したことがあった。記事は、石破氏が当時、自身のブログにこのようにつづった、と紹介した。