本格強化から16年目で悲願の全国初出場!! 清水商OB・小田晃監督率いる帝京安積が新たな歴史を刻む
[6.1 インターハイ福島県予選準決勝 帝京安積高 1-0 東日大昌平高 Jヴィレッジスタジアム] 【写真】影山優佳さんが“人気女優”と代表戦を現地観戦「可愛すぎる」「勝利の女神が2人」 2009年に本格的にサッカー部の強化をスタートさせた帝京安積高が新たな歴史を作った。 1日、令和6年度全国高校総体(インターハイ)福島県予選準決勝がJヴィレッジスタジアムで行なわれ、帝京安積が1-0で東日大昌平高を下してインターハイ初出場を決めた。 今年度からインターハイの男子サッカー競技は福島県で開催されるため、県内からは開催県枠で1校増えて2校が出場可能となった。13年連続インターハイ出場中でU-18高円宮杯プレミアリーグ勢の尚志が絶対王者として君臨しているだけに、県内のライバルからすれば大きなチャンスとなる。 「目の前に2つ目の枠があるのは事実。現実として尚志以外にもう1チームが出場できるというのはモチベーションになる」。帝京安積の小田晃監督が思いの丈を口にした通り、他校も含めて目の色を変えて今大会に臨むのは想像に容易い。帝京安積も例に漏れず、本気で夏の全国舞台を狙ってきたチームの一つ。2009年に本格的な強化がスタートし、清水商高OBである小田監督の下で力をつけてきただけに今年懸ける想いは強かった。 その状況下で県予選を順調に勝ち上がり、迎えた準決勝。東日大昌平に対し、序盤から押し込む展開となった。開始2分にはMF藤沼遥斗(3年)のスルーパスにFW白坂晴人(3年)が反応。相手GK矢内忠海(3年)の動きを見て、狙い通りのループシュートを右足で放ったが、惜しくも枠を捉え切れない。その後もキャプテンのCB平野瑛大(3年)と藤沼を軸にボールを動かしていく。最前線の白坂とFW宗形享(3年)にも良い形でボールが入り、決定機を迎えた。だが、ゴールを決め切れずにいると、徐々に相手の反撃を許してしまう。最終ラインも押し上げられず、サイドから崩される場面が増加。守護神のGK村上斗粋(3年)を中心に粘り強く戦ったが、決して楽観視できるような内容ではなかった。 後半に入っても一進一退の攻防が続き、膠着した状態が続く。11分に自陣のゴール前でFKを与え、MF上遠野祐也(2年)にバー直撃の一撃を放たれるなど、ヒヤリとするシーンも何度かあった。そうした流れに終止符を打ったのが、エースの白坂だった。28分、左サイドを打開した左SB長尾潤大(3年)がアーリークロスを入れると、宗形が技ありのヘディングシュートを放つ。惜しくも右ポストに阻まれたが、こぼれ球を白坂が押し込んで均衡を破った。 その後はボールを保持して時間を使い、相手の時間帯を作らせない。アディショナルタイムも凌ぎ、タイムアップの瞬間を迎えた。 小田監督が指揮官となって今年16年目。13年に福島県リーグ2部に参入し、16年に同1部に昇格。プリンスリーグ東北に初昇格した2020年には人工芝グラウンドとクラブハウスが完成し、あとは結果を残すだけだった。 「素直で良い子たち。この子たちと新たな歴史を刻む、新しいステージに入っていくことは成し遂げたかったので、その意味でもすごく嬉しい」 今年のチームは1月の東北新人戦で初めて準優勝を成し遂げるなど、順調なスタートを切った。しかし、シーズンが始まると、プリンスリーグ東北で苦戦。インターハイ予選前まで1勝3分け3敗と黒星が先行し、直近の仙台ユース戦では0-6の大敗を喫していた。だからこそ、小田監督はチームが崩れないようにアプローチを続けてきたという。 「ドツボにハマってしまうと、一気に崩れてしまう。勝手に自信を無くして、やってきたことが間違っているかのような状況になる。だから、(試合毎に)合っていることは合っていると言ってあげて、次のゲームに向かわせてあげることは普段から取り組んできた」 そうした状況になってもチームは崩れず、高いモチベーションを維持。「0-6でベガルタに負けてしまって不安はあったけど、今までやってきたことをやるだけだと思っていた」と平野が話した通り、選手たちも気持ちを切り替えて今予選の第一関門を突破した。 しかし、チームは既に次の目標に焦点を定めている。それが2日に行なわれる尚志との決勝戦だ。1月に行なわれた東北新人戦の決勝では2-4で敗れている。その悔しさは選手たちも覚えており、リベンジを果たして福島県の第1代表として大舞台に挑みたいと話す。 「出場は決まったけど、尚志に勝たないといけない。勝って全国に行く」(白坂) そういう意味では、2日の決勝は全国舞台に挑む前の試金石となるゲームだ。小田監督は言う。 「やればやるほど、尚志さんの強さは感じてきたし、僕らの弱みに入ってくるのも上手いし、純粋に強い。倒さないといけないというところではあるけど、まだ攻略はできていない。全国の上位に入ってくるチームはそういう強さがある。それを身につけるのはまだまだこれからだし、明日の決勝はやってみないとわからないけど、僕らが尚志の上に行くというところは目指したい」 出場権を手にして終わりではない。絶対王者との“全国大会0回戦“を制し、自分たちの力を示した上で大舞台に乗り込む。