なぜかどんな会社でも起きてしまう「上層部になるほど無能だらけになるワケ」
組織の上層部は無能だらけになるわけ
「人は無能になる職階にまで出世する」――具体的に掘り下げると次のようなことになる。 〈特定の職階で優秀だったものが次の職階でも優秀である確率は低い。ただし上位階層のポストの数は少ないのでこれ自体はあまり問題でもない。問題なのは、確率論的にいって「特定の職階では優秀だったが次の職階では優秀でない人」が多数いるということだ。 彼らは新しい職階では評価されないため、さらに上位の職階に進まずに適性のない職階にとどまることになる。こうしたことがあらゆる職階で起こると組織の上層部は無能だらけになるわけである。 数理的にいっても職階の数が多い組織ほどこうなる。ただしこれはあくまで先ほどの四つの条件が揃った場合であり、現実の健全な組織はこうした罠に陥らないように四条件のうち一つ以上を回避する手を打っているはずである(たとえば、組織で働くすべての人が本書を読むことで普段の仕事を経営視点で捉えるようになることでも、条件3・4の仮定は簡単に崩れる)。 といって仕事における喜劇の数々に苦笑しているばかりではいけない。 上司が無能だと笑うのは簡単だが現実はそう単純でもない。おそらくすべての人が大なり小なりこうした無意味な仕事もどきを作りだしている。本当の責任はすべての人にある。〉(『世界は経営でできている』より) 会社勤めを経験したことがある方は、「特定の職階では優秀だったが次の職階では優秀でない人」に心当たりがあるかもしれない。 そうした状況から脱するには、一人ひとりが仕事を経営視点で捉えることが重要なのだ。 つづく「老後の人生を「成功する人」と「失敗する人」の意外な違い」では、なぜ定年後の人生で「大きな差」が出てしまうのか、なぜ老後の人生を幸せに過ごすには「経営思考」が必要なのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部