丸亀製麺「心の本店」が讃岐広島に誕生、三つ星麺職人を育成する研修施設に
丸亀製麺をはじめとする事業を展開するトリドールホールディングスは11月27日、香川県丸亀市の離島・広島(讃岐広島)に作った「心の本店」を公開した。 【画像】(左から)讃岐広島・小手島・手島活性化協議会 会長の白賀誠治氏、丸亀市長の松永恭二氏、トリドールホールディングス 代表取締役社長 兼 CEOの粟田貴也氏、丸亀製麺 代表取締役社長の山口寛氏、小麦づくりの師匠 山脇千枝子氏 同社では、2022年に丸亀市と地域活性化包括連携協定を締結し、離島振興などに取り組んできた。こうした活動を続けるなかで、美しい自然の下でうどんの原材料として小麦を育てたり、海水から塩を作ったりできる環境がある讃岐広島に着目。おいしい一杯のうどんを追求する研修施設として「心の本店」を開設することにしたという。 丸亀製麺としては、社内資格として2016年から“麺職人制度”を導入し、うどん作りの知識と技術を持つ人材育成を行なっている。9月末時点では、1730名が一つ星麺職人、9名が二つ星麺職人に認定されているが、今回設置された研修施設では、さらなる高みを目指し、三つ星麺職人の育成を行なっていく。 27日に現地で開催されたオープニングセレモニーにおいて、代表取締役社長 兼 CEOの粟田貴也氏は「この施設は、単なる研修の場にとどまらず、麺職人たちがお互いに切磋琢磨をして技術と知識を共有することで、新たな創造と革新が生まれれる場となることを目指している。試験会場としても活用されるこの場所で、多くの才能が開花し、讃岐うどんの伝統が次世代へ受け継がれていくことを期待している」と挨拶。 来賓として出席した丸亀市長の松永恭二氏は、これまでの同社からの地域振興への支援に感謝を述べた上で、「うどんは古来、讃岐の食文化で、香川の人なら誰もがこだわりと愛着、誇りを持っている。この心の本店が地域活性化の大きな推進力となるとともに、島民はもちろんのこと、島を訪れる多くの方々にとっても、うどん文化を通じた交流と感動体験の一助となり、さらに郷土愛が育まれることを切に願う」と語った。 麺職人を指導する立場にある“麺匠”の藤本智美氏によれば、同施設では、通常の丸亀製麺の店舗とは異なり、自分たちの手で島で育てた小麦や海水から作った塩を原材料にしたうどん作りを行なうことで、うどんを深く理解することを目指す。出汁についても“いりこ”を使用した「心の本店」特別仕様となる。 また、製麺機を使用せず、ひたすら手作業でうどん作りを行なう。さらに、うどんを茹でる釜もガスではなく薪を使用する。施設の隣には畑があり、島で小麦を生産する山脇千枝子氏を師匠に迎え、自分たちの手で小麦も育てていくという。 基本的には研修用に作られた施設だが、施設内には座って飲食できる小上がりも用意されており、島民とのコミュニケーションハブとしても活用される。藤本氏も島への移住を考えているとのこと。 なお、「心の本店」は丸亀製麺のWebサイトにも掲載されており、Google マップ上でもうどん屋として紹介されているが、現時点で一般客の入店は受け入れておらず、将来的には島を訪れた観光客への対応も検討していきたいとしている。 それでも施設の外には「心の本店」と記された石の看板が置かれ、瀬戸大橋を背景に記念撮影が行なえるフォトスポットにもなっており、丸亀製麺のファンにとっては聖地と言える場所となりそうだ。
グルメ Watch,編集部:湯野康隆