「若年性更年期障害」とは?めまい、頭痛、不眠…「更年期障害」と似て非なる病態やPMSとの違いを医師が解説!
若年性更年期障害の治療方法は?自分の更年期障害の程度を知るには?何科を受診したらいい?
Q4:“若年性更年期障害”の治療方法は? A4:生活習慣の見直しが第一ですが、漢方薬やホルモン治療も選択できます。 大山先生:治療が必要な他の病気の心配がなければ、自律神経やホルモンバランスの安定を目指して、食事・運動・睡眠を意識した健康的な生活改善が第一です。「本当にそれで効果があるの?」と思われるかもしれませんが、実際に診させていただいた若い患者さんのなかには、過度なダイエットをして月経が止まってしまったとか、睡眠時間が昼夜逆転していて症状が出たという方もいらっしゃるので、自律神経を安定化させてあげることは重要です。 それだけでは改善しない場合には、イライラや不眠などの症状を緩和してくれる漢方薬や、月経不順を改善する低用量ピルで症状を改善させる治療法があります。「早発閉経」など、実際にホルモン量の低下がある場合には、飲み薬や貼り薬でエストロゲンを加えてあげるホルモン補充療法もあります。 Q5:自分の更年期障害の程度を知る方法は? A5:簡略更年期指数(SMI)というチェックリストがあります。 大山先生:SMI(=Simplified Menopausal Index)は日本人女性特有の更年期症状をもとに考案された、更年期症状の程度を評価するためのスケールで、実際に外来で使用されています。 下記の10項目の症状について自分でその程度に点数をつけ、合計点をもとに更年期症状の程度を把握します。 月経不順、かつ合計点が51点以上であれば、婦人科を受診することをお勧めします。 ・顔がほてる (強=10/中=6/弱=3/無=0) ・汗をかきやすい (強=10/中=6/弱=3/無=0) ・腰や手足が冷えやすい (強=14/中=9/弱=5/無=0) ・息切れ、動悸がする (強=12/中=8/弱=4/無=0) ・寝つきが悪い、または眠りが浅い (強=14/中=9/弱=5/無=0) ・怒りやすく、すぐイライラする (強=12/中=8/弱=4/無=0) ・くよくよしたり、憂うつになることがある (強=7/中=5/弱=3/無=0) ・頭痛、めまい、吐き気がよくある (強=7/中=5/弱=3/無=0) ・疲れやすい (強=7/中=4/弱=2/無=0) ・肩こり、腰痛、手足の痛みがある (強=7/中=5/弱=3/無=0) 【自己採点の評価法】 0~25点:上手に更年期を過ごしています。これまでの生活態度を続けていいでしょう。 26~50点:食事・運動などに注意をはらい、生活様式などに無理のないようにしましょう。 51~65点:医師の診察を受け、生活指導、カウンセリング、薬物療法を受けた方がいいでしょう。 66~80点:長期間(半年以上)の計画的な治療が必要でしょう。 81~100点:各科の精密検査を受け、更年期障害のみである場合は、専門医での長期の計画的な対応が必要でしょう。 Q6:“若年性更年期障害”は何科を受診? A6:女性なら、まずは婦人科へかかりましょう。 大山先生:昔は「更年期障害」の認知度が低く、つらい症状があっても周囲の人に理解されにくかったものですが、最近はメディアで取り上げられることも増え、“若年性更年期障害”という言葉が使われるくらいメジャーになって、理解が進みつつあると感じます。男性でも、男性ホルモンである「テストステロン」が低下すると更年期症状が出ることがあり、泌尿器科に専門外来が設けられている医療機関もありますね。 とはいえ、女性の不調をなんでも「更年期障害」と決めつけてしまうと、思いもよらない病気のサインを見過ごしてしまうことになるかもしれません。例えば、若いうちから異常なエストロゲンの低下によって無月経の状態が6カ月以上続くと、将来的な骨粗しょう症のリスクが高まってしまいます。若い方でも、月経不順や更年期障害に似た症状が続く場合は、一度婦人科にかかってほしいなと思います。 ▶生理がとまり20代で“若年性更年期障害”に。現在3児の母となった南上夕佳さんへインタビュー へ続く 産婦人科医 大山 香 (おおやま・かおり) 昭和大学医学部卒。日本産科婦人科学会専門医。女性ヘルスケア専門医。臨床研修指導医。気軽に話せる雰囲気づくりと、図や絵を使用したわかりやすい説明を心がけ、「女性ライフクリニック銀座」で臨床にあたっている。 構成・取材・文/月島華子