惜しまれた閉店から2年半を経て、伝説の店「コルシカ」が待望の復活!
レシピにはオリジナルソースやドレッシングが何種類もあり、それらが味の要だったそう。「本日の『オードブル5品』の中で牛タンに使ったラヴィゴットソースや、鮪に使った玉葱醤油ドレッシングも大人気でした」と北村さん。
中でもベシャメルソースは「コルシカ」を代表する存在。重本さんが修業先で学んだものを独自に開発しました。ぽってりとしているのになめらか、クリーミーでコクはあるのにくどさがない、どうしたらこんなソースになるのか不思議でなりません。それが50年以上前に作られていたとは!
「カレーってみんな好きでしょ」という重本さんの一言から生まれたこの「コルシカ風ライスグラタン」は、ドライカレーにベシャメルソースをたっぷり、最後にパルメザンチーズを振りかけオーブンで焼きあげます。
重本さんの予想通り、このグラタンは誰もがオーダーする超ロングセラーメニューとなりました。
中に忍ばせたアサリも名脇役ぶりを発揮、うまみとぷにっとした食感がたまりません。50年経っても食べずにはいられない、永遠不滅の一品です。
なぜ「コルシカ」が愛され、求められるのか?
10年間ですべてのポジションを経験し主力となった北村さんは違う世界も知りたいと一旦離れます。イタリアへ行き、先輩である西村隼人さんの店「オステリアドゥエ」の立ち上げにも携わり研鑽を積みます。いよいよ独立準備に入った頃、最後に手伝って欲しいと重本さんから声がかかり5年ぶりに「コルシカ」へ戻ります。
こちらは「エスカルゴの洋酒入りニンニク・バター」をアレンジした当時の裏メニュー。昆布と酒を入れて真空状態にした鮑を湯煎で火入れし、ソテーした椎茸としめじの上に並べ、オリジナルレシピの「ニンニク・バター」をトッピングしてオーブンで焼き色をつけます。周りを鮑の肝ソースで飾り、付け合わせに穴子のエスカベッシュを添えています。上質な鮑の肝は苦みがなく、子供にも好まれる「コルシカ」らしい味わいです。
オープンから使っていたメニューには前菜13品、スープ6品、サラダ7品、スパゲッテイ15品、ピッザ8品、グラタン7品、パスタ3品、米料理6品、魚料理12品、肉料理23品、パン・ライス4品、デザート3品のトータル107品が載っていました。削除した料理もいくつかありますが、常にこれだけの品数を提供できるように準備するのは難儀なこと。重本さんから「売り切れました」はお客様に失礼だと叱られたし、おまかせコースの常連にはオリジナルソースと食材の組み合わせで同じ料理は出さなかったというエピソードも。