米雇用者数、10月は1.2万人増にとどまる-ハリケーンとスト影響
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10月は特に医療と政府部門で雇用が増加したが、他の業種ではほぼ横ばいないし減少となった。小売りや運輸・倉庫、娯楽・ホスピタリティーなどは全て減少。これらは悪天候が影響した可能性が高い。製造業の雇用は4万6000人減と、2020年4月以来の大幅な落ち込み。ボーイングの従業員3万3000人などストが影響した部分が大きい。
エコノミストは、ボーイングでのストのほか、9月下旬から10月上旬にかけて南東部を襲った2つのハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」について、失業率を算出する調査よりも雇用者数により強い悪影響を及ぼすと警告していた。そうした見方を背景に、非農業部門雇用者数の市場予想のレンジは1万人減から18万人増と広範囲に及んでいた。
雇用者数を算出する事業所調査の回答率は47.4%と、1991年以来の低水準。ハリケーンの影響で、企業が労働統計局に対し迅速に回答できなかった可能性がある。労働統計局はその後も毎月調査を継続するので、回答率は通常90%近く、ないしそれ以上に高まる。その結果、大幅な修正につながる可能性がある。
ハリケーンの上陸はヘリーンが9月26日、ミルトンは10月9日だった。ミルトンの上陸日は10月雇用統計の調査期間と重なる。雇用統計は2つの調査から構成される。雇用者数のデータは事業所調査に基づいて算出され、その月の12日を含む1週間に従業員が勤務しなかった場合、たとえ実際には雇用されていて悪天候の影響で勤務できなかっただけだとしても、就業者としてカウントされない。
一方で失業率を算出する家計調査では、そうした従業員が就業者から除外されることはない。悪天候の影響で勤務できなかったと回答した人は51万2000人と、1月以来の高水準となった。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミストは「10月の雇用者数は低調だった。ハリケーンの影響だけが理由ではなく、他の部分でも減速の兆候が見られる。この雇用統計を受け、FOMCは11月と12月の両会合で25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施する方針を維持するだろう」と分析した。