【阪神JF】アルマヴェローチェが文句なしの完勝!実力でもぎ取った女王の座「来年はもっと良くなる」
第76回阪神ジュベナイルフィリーズ回顧
ゴールまで残り100mほどの地点で6頭が横並びになった瞬間、アルマヴェローチェが何かを訴えているように見えた。 【ガチ予想】2歳牝馬チャンピオン決定戦「阪神JF」をガチ予想!キャプテン渡辺の自腹で目指せ100万円! まるで、「私の走りを見ていなさい!」と言っているかのように――。 昨年の勝ち馬アスコリピチェーノや一昨年の女王リバティアイランドのような絶対的な存在がいなかった今年の阪神JF。 ただでさえ混戦模様とされたメンバーの中に史上初となる外国馬、メイデイレディもランフランコ・デットーリを従えて参戦してきたことでますます難解な一戦に。 そのため人気も割れて、1番人気に支持されたブラウンラチェットを筆頭に単勝オッズが10倍を切る馬が4頭も現れた。 その中で埋もれてしまったように感じられたのが、アルマヴェローチェだった。 夏の札幌で迎えたデビュー戦では牡馬相手に逃げ切り勝ちを収め、続く札幌2歳Sでは中団から動くという初戦とは異なる走りを見せてマジックサンズの2着に。 敗れたとはいえハナ差まで迫ったその走りはもっと評価されてもおかしくなかったが、単勝オッズは10.5倍の5番人気にとどまった。 8月以来の実戦となること、鞍上がテン乗りな上、これまでにGⅠを制していない岩田望来に乗り替わったことか、そして初めてマイルを走るというのが嫌われたのか…… 牡馬相手の重賞で2着に入ったことがある馬にしては思ったほどの人気を得られなかった。 小雨の中で行われたパドックでも、アルマヴェローチェはゆったりと周回していた。 484キロというバランスのいい好馬体を誇る彼女の様子を見ると、気合が入っているのは間違いなかったが……良くも悪くも特に目立つことはなかった。 そのためか、ファンは前走からマイナス12キロとやや細く見えたブラウンラチェットや440キロに満たない小型のショウナンザナドゥの様子に注意を払い、アメリカからやってきたメイデイレディのパワフルな雰囲気が伝わる歩様に注目しているように見えた。 返し馬を終え、いよいよゲート入り……という時も、アルマヴェローチェの隣のゲートに入っていたクリノメイが突然暴れ出してしまい、スターターが黄色い旗を振って外枠発走に。 この時、他の馬たちはもちろん、ゲート内で大人しくしていたアルマヴェローチェに注目しているファンはほとんどいなかっただろう。 そうして迎えた今年の阪神JF。メイデイレディが好スタートを決めたほか、どの馬も出遅れることなくゲートを出る。 外からリリーフィールド、内からモズナナスターとミストレスがハナ争いを演じ、これを見ストレスが制するとその3頭のすぐ後ろに2番人気に支持されたショウナンザナドゥが付けるという意外な位置取りに。 それらを見ながらアメリカのメイデイレディが5番手に付け、それを見る形で後ろに1番人気のブラウンラチェット、ほぼ最後方という位置に3番人気のコートアリシアンが追走していった。 そんな馬群の中でアルマヴェローチェは中メイデイレディのすぐ後ろ、そしてブラウンラチェットの前という中団よりやや前目の位置取りを選択。 例年とは異なる京都開催ということもあってかレースの流れも極端なものにならず、前半の800mは46秒5という平均的な速さ。 混戦を象徴するかのように馬群もばらけることなく、団子状態のままで進んでいった。 3コーナーを過ぎたところで逃げるミストレス、リリーフィールドにショウナンザナドゥが迫り、さらにメイデイレディも動く。そしてその外からアルマヴェローチェも動き始めた。