「スタートとしてはいいスタートを切れた」仙台育英戦で感じた神戸弘陵の成長と変貌
12月29日、第102回全国高校サッカー選手権の1回戦15試合が首都圏内の各会場で行われた。 【フォトギャラリー】1回戦各会場の試合風景 ニッパツ三ッ沢競技場での第2試合、終始、試合のペースを握った神戸弘陵(兵庫)がFW10北藤朔(3年)の2ゴールなどで仙台育英(宮城)に4‐0で完封勝利をおさめ、2回戦進出を決めた。 「守備の球際のところで勝っている場面があった。相手のプレッシャーはきつかったが、技術とコンビネーションで相手をはがし、フィニッシュまでいけた。スタートとしてはいいスタートを切れた」と神戸弘陵の谷純一監督。 全国初戦の圧勝はこの1年の成長を示す試合となった。 ことし3月、イギョラカップに参加した神戸弘陵を取材した。相手は帝京。試合は前半2失点しながら後半、FW北藤のハットトリックで逆転勝利した。 「(北藤には)大学生にも負けない速さがある」と谷監督が太鼓判を押していたことを覚えている。そのFW北藤が全国の舞台に立ち、また一段と速くなったような印象を抱いた。 「そこまで足は速くなっていないが・・・」と否定したが、谷監督はこう続けた。「(北藤は)春先90%、100%でプレーしていたが、いまでは緩急がつけられるようになった。北藤はもともと速い選手なので、ボールを取られないところに置いたら、普通に速い。その分、(前に)ツッコむプレーがなくなり、彼の良さが出せるようになった」と成長を認めた。北藤またも「相手とのタイミングや重点で置き去りにできるようになった。紅白戦から1対1で相手の重心をみて、縦に行くプレーを意識している」と日ごろの取り組みと工夫が活きた。 攻撃だけではなく、守備にも成長の跡があった。 春の帝京戦ではまだまだだったが、この試合ではシュート1本に抑え、ほぼなにもさせなかった。守備は主将を務めるDF4岡未來(3年)、DF3柴尾美那(3年)この2人のセンターバックが中心だが、ボランチのMF6大井孝輔(3年)、MF8木津奏芽(2年)らの貢献度の高さを忘れてはいけない。 「うちのチームは攻撃だけにフォーカスされがちだが、守備、特に中央ラインの成長は大きい(谷監督)」 奔放な攻撃は堅くて執拗な守備にもたらされている。さらに夏からは食事の摂り方、筋力トレーニングを工夫することで身体作り、体重増加に努めた。さまざまな取り組みが結実しての初戦突破にさらなる自信を深め、神戸弘陵は前橋育英との2回戦に臨む。 (文・写真=佐藤亮太)