関東学生連合チームのスローガン「俺たちのはじめての箱根駅伝」……東大大学院生29歳キャプテンがいま考えていること
「関東学生連合チーム」。箱根駅伝予選会で、本選への出場権を得られなかった大学の上位選手(※留学生を除く)で結成される。2024年の第100回記念大会では組織されず、今回は2年ぶりの出場が決まった。 【写真】この記事の写真を見る(6枚) 今年の学生連合チームのキャプテンを務めるのは、東京大学大学院博士課程4年生の古川大晃さん。3度目の挑戦にかける古川選手がいま考えていることは……。 ◆◆◆ ――4月の刊行当初から『 俺たちの箱根駅伝 』を読んで、学生連合チームのスローガンにも書名を引用してくださいました。 古川 普段小説をよく読むほうではないのですが、池井戸潤さんが学生連合チームのことを書かれたと知り、手に取りました。ランナーたちの描写がとてもリアルで……調子がいいときはただひたすらリズムを刻む感覚で、周りの風景なんかが一瞬一瞬で抜けていくイメージがありますし、調子がよくないときは余計に色んなことを考えてしまう感じが、良く分かりました。 一番好きだったのは上巻の最後のシーンです。箱根駅伝本選を誰が走るか、10人のメンバーが発表される。ランナーにとって「選ばれる」というのは特別な瞬間です。特に彼らは学生連合のメンバーなので、全員が「人生初の箱根」を走ることが決まる。その瞬間の緊張感と高揚には、とても共感しました。
学生連合チームのスローガンは
この本が出版された2024年に学生連合チームに選抜されたということは僕にとっても特別で、チームのスローガンにも入れたいと思い、ミーティングで提案しました。決定したスローガンは、「俺たちのはじめての箱根駅伝」。 「はじめての」を入れたところがオリジナリティかつポイントです。僕たちの共通点ってなんだろうと考えたとき、全員が箱根駅伝本選を走るのは「はじめての」ことなんです。学生連合チームへ選抜されるには、これまで本選への出場経験がないことが条件です。経験者は一人としていない、全員が「はじめての」箱根駅伝。それは箱根への強い気持ちがあり、フレッシュであるという意味では強みですし、経験値という意味では弱みでもあります。そうした僕たちのわくわくと不安、その微妙な心情をこのスローガンに込めました。多くのメンバーがこのスローガンを推薦してくれ、チームスローガンとして決定しました。