「リスク管理下手」の日本人に大切な価値観とは 「保険仲立人」が語るリスクと挑戦のバランスシート
◆アインシュタインも「失敗」を大切にした
――保険仲立人の必要性について、あらためて教えてください。 顧客企業と連携し、彼らのビジネスモデルを把握することが重要です。 それが保険仲立人のビジネス基盤です。 私たちの会社では、リスクへの専門知識を深め、顧客内部にリスクマネジメントができる人材の育成を促しています。 日本のリスクマネジメント意識を変えるのは、現場から変わるものでなければいけないと考えています。 ――挑戦とリスクのバランスをどう考えればよいでしょうか。 アインシュタインが一箇所だけわざと計算を間違える九九の話が好きなんです。 彼は黒板に九九を書いていき、最後だけわざと間違えます。 見ている子どもたちが笑います。 すると、アインシュタインは「私はそれまですべて正解していたのに、1 つでも間違えたら笑うんですね」と言い、「しかし、決して間違えない人がいます。それは、何も挑戦しなかった人です」と続けたそうです。 これは挑戦の大切さを表した逸話ですが、失敗を避けて挑戦しないよりも、まずはチャレンジし、失敗から学ぶことに意義があります。 この考え方は、リスクマネジメントにおいても重要だと思っています。 ――リスクマネジメントが経営戦略の一つと言えますか。 新たなビジネスチャンスを追求する際に、リスクを管理し、失敗から学びながら前進することが大切です。 現代のグローバルなビジネス環境では、国境や言語の壁が薄れ、競争はますます激化しています。 企業は一地域だけでなく、国際市場にも積極的に参入し、成長戦略を展開する必要があるでしょう。 従来のように、既存のマーケットをひたすら守っているだけでは、安定したサービスを永遠に提供することができるかどうか、はなはだ疑問です。 リスクマネジメントは、経営戦略や事業承継において企業の持続可能性や成長に不可欠な要素です。
■プロフィール
株式会社日本総険 1996 年4 月施行の保険業法の改正で日本に保険仲立制度が生まれたのを機に、大蔵省の登録・認可を受けて同年に創業。「技術でリスクを管理する」というコンセプトのもと独自に研究開発を行ない、クライアント企業の事業態リスクに合わせた保険調達を可能とするIBA(INSURANCE BROKING&AGENCY)COVER を商品として販売。2023 年、保険仲立人として日本で初めてTOKYO PRO Market に上場した。