「職業差別発言」が問題視される川勝知事が理解できない「仕事は社会のため」というド正論 百田尚樹氏の主張は
囚人さえも壊れる仕事
今にして思えば、父は決して仕事が嫌いではなかったと思う。仕事や職場の愚痴をこぼすのは聞いたことがないし、毎朝、機嫌よく家を出て行った。母も父が転職したいと言ったのを聞いたことがないと言っていた。 父はおそらく仕事をする喜びを感じていたと思う。壊れた水道管を直すことにより、その地域に住む人々の役に立つという喜びがきっとあったと思う。労働の喜びとはそういうものであるはずだ。 これは有名な話だが、囚人に与える最もきつい仕事は、穴を掘らして埋め戻させる仕事だという。この作業を延々と続けさせると、どんなに精神的に強い囚人も心が折れ、やがて肉体的にも崩壊する。逆にどれほど過酷な労働をさせても、それが何かしら役に立つ、あるいは何らかの達成感があるという仕事なら、囚人は耐えられるという。 私はこの話には、「労働」の深い意味が読み取れると思う。世の中には役に立たない仕事はない。どんな仕事であろうとも、それは社会や人のためになる。労働の本当の喜びとはそこにあるのではないか。 *** まるで自分たちの仕事が高級であるかのような物言いをするのではなく、自治体のトップとして伝えるべきメッセージは、こちらだったのではないか。
デイリー新潮編集部
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