「職業差別発言」が問題視される川勝知事が理解できない「仕事は社会のため」というド正論 百田尚樹氏の主張は
「野菜を売ったり、牛の世話をしたり」は知性が不要?
今どきドラマでも聞けないほどの「不適切」発言といえそうだ。読売新聞オンラインによれば、静岡県の川勝平太知事は4月1日、新規採用職員への訓示の中で、 「県庁はシンクタンク(政策研究機関)だ。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たち。それを磨く必要がある」と述べたという。(読売新聞オンライン4月2日配信)
普通に読めば、「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったり」という仕事は「頭脳、知性」が低くてもできると知事は考えているということになる。静岡県のブランドを支えてきたお茶農家やみかん農家、あるいはモノ作りにまい進してきたヤマハの方々をはじめ、全国の1次産業やモノ作りに関わる人への侮辱だろう。そもそも農業であろうと畜産業であろうと、頭脳と知性が必要なのは言うまでもない。 早稲田大学卒業後、同大学院修士課程修了、オックスフォード大学で博士号を取得、その後学者に、という典型的な頭脳労働者の川勝知事の差別的な職業観が透けてみえた発言ともいえるだろう。表立っては言わないが、1次産業などについてこのように考えている、「インテリ」は一定数存在するのかもしれない。 ともすれば、そういう人は「頭脳」「知性」を過大に評価する一方で、地味で目立たない仕事、人がやりたがらないような仕事を軽視しがちだ。 『永遠の0』などで知られる作家の百田尚樹氏は、著書『大放言』の中で、「仕事」に関する持論を述べている。きっかけは、「やりたいことを仕事にしたい」という理由で退職する若者についての話を聞いたことだった。 百田氏の父親の仕事は、決して若い人が「やりたい」と憧れるタイプのものではなかった。それだけに黙っていられなかったようだ。多くの新社会人が誕生したタイミングで、その「仕事論」をご紹介しよう(百田尚樹『大放言』より抜粋・再構成) ***