ビジネスシーンで発生する“日程調整”の課題を解決したミクステンドの「TimeRex」
営業メールに対して「逆営業」。TimeRexを使ってもらうことでユーザーを拡大
どんなに便利なツールでも認知されなければ、利用が拡大しない。どのような方法で「TimeRex」を広げていったのだろうか。認知拡大の営業といえば、広告を打ったり、営業しに出向いたりといったことを想像しがちだが、最初のフェーズでは、コストをかけない方法で認知を拡大していったという。 ┌────────── 『調整さん』という存在もあり、『TimeRex』をリリースした時点である程度の会社規模があったため、日々、打ち合わせ日程がずらっと書かれた営業メールを多く頂いていました。それらに対して、『TimeRexから日程調整いただければ、お受けできます』という形で返信していました(北野氏) └────────── 営業にきた相手に対して、URLを送ることで逆営業的に、利便性を伝えていった。その結果、しばらくすると営業メールに「TimeRex」のURLが貼られることが増えていった。同じ手法で地道にアプローチし、1人1人に体感してもらうことで、日程調整方法のリプレイスを促していった。この手法は「かなり効果があった」と北野氏は振り返る。 ある程度ユーザーに使ってもらうことに成功した結果、今は最初のフェーズで北野氏が行っていた「TimeRexのURLを送る」という行動をユーザーが自然と行い、認知が拡大していっている状態だ。そのため、今注力しているのは、URLを受け取った側へのアプローチだ。
┌────────── 受け取り側を究極シンプルにして、調整後に『今度はあなたがこのツールを使って日程調整を効率化していきませんか』と訴求し、ユーザーを増やしていくことを考えています(北野氏) └──────────
目指したのは「文字を読まなくても操作できる」シンプルな操作性
2020年に「TimeRex」をリリースして約4年。その間に競合が増えたことにより、ビジネスにおける日程調整ツールの市場は拡大している。この状況について北野氏は、脅威を感じながらも、「URLを送って日程調整する」という概念から説明していた時代に比べて「市場環境は良くなっているし、私たちにとって追い風になっている」と話す。 市場が広がる中、他社との差別化を図るためにも、ミクステンドがこだわっているのは日程調整を仕掛ける側ではなく、仕掛けられる側(URLを受け取る側)にとっての使いやすさだ。なぜなら、日程調整ツールは他のツールを導入する際と違い、事前に受け取り側がサービスを調べることなく、ある日突然URLが送られてくるからだ。受け取り側が、ツールについて知っているとは限らない。 ┌────────── 日程調整を仕掛けられる側の画面を徹底的にシンプルにしました。文字を読まなくてもなんとなく操作すれば、完了できるという状態を目指したのが、私たちのサービスの大きなポイントだと思います(北野氏) └────────── ミクステンドでは社風としてユーザーの声を社内全員で把握したうえで、さらに追加でアンケートを行うなど、ユーザーの声から社内全体で製品をプラスにしていくという社風が根付いている。 たとえば、「調整さん」のケースでは、文字をピクセル単位で変えたり、同じ黒でも濃い黒と薄い黒で比較したりするなど、かなり細かなA/Bテストを繰り返した結果、現在のデザインへと至っている。 そして「TimeRex」では、北野氏が自ら基本的な操作性や画面構成について落とし込んだものに対して、UI/UXデザイナーがレビューを行い、最終的なUIを決定したという。シンプルかつ文字を読まなくても使える操作性にするために、心がけていることはあるのだろうか。 ┌────────── 基本中の基本ですが、そのページで一番大事なボタンを目立たせること。そして、ユーザーの中にある『このボタンを押したらこうなるのではないか』という期待を裏切らずに、なんとなく操作したらできることを意識しています(北野氏) └────────── さまざまなサービス連携が可能だからこそ、サービス連携に関しては別ページに遷移するように設定した。実は最初は日程調整カレンダー作成画面上にサービス連携の画面も入れていたが、連携可能なサービスが多いため情報量が増え、さらに連携を望まないユーザーにとっては不要な情報が目に入っていたことで、日程調整カレンダーの作成完了率が下がってしまっていた。