松田聖子に憧れ芸能界へ…昭和最後のアイドル・北岡夢子の軌跡【前半】
1988年にデビューし正統派アイドルとして注目を浴びた北岡夢子さん。2001年以降長く活動休止していましたが、今年配信シングル『二人の季節』で突然の活動再開宣言。どんな経緯があったのか? そして気になる新曲は? ゲスト出演したラジオ関西の番組『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』で、シンガーソングライター・音楽評論家の中将タカノリと、シンガーソングライター・TikTokerの橋本菜津美とともに、濃密トークを繰り広げました。 昭和最後のアイドル・北岡夢子さんが電撃復活! 新曲をリリース ※ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』2024年11月22日放送回より 【中将タカノリ(以下「中将」)】 普段ほとんどゲストをお招きしないこの番組ですが……。 【橋本菜津美(以下「橋本」)】 そうですね、3年やってるけどまだ4組! 【中将】 今回はなんと5組目となる北岡夢子さんをお迎えしております! 【北岡夢子(以下「北岡」)】 ありがとうございます、よろしくお願いします。 【橋本】 私はお会いするのがこれで2回目なんですが、とてもパワフルで気さくな方で大盛り上がりでした。 【中将】 そうですね、盛り上がりついでに今回のゲスト出演も決まったという(笑)。 夢子さんといえば、1988年にデビューした昭和最後のアイドル。正統派アイドルとして注目を浴び、俳優としても活躍したものの、活動休止。長い沈黙を経て今年、突然の活動再開を果たしました。今回の『昭和卍パラダイス』ではそんな夢子さんのデビューからの歩み、そして今を紹介したいと思います。 本格的な芸能活動は23年ぶりということですが、その間はどう過ごしておられたんでしょうか? 【北岡】 本が好きだったので出版社にちょっとお手伝いに行ったり、家業のお手伝いをしたり、習い事をしたり……芸能からはまったく離れていましたが、楽しく自分を見つめ直す時間を持てたと思います。ちょっと長すぎたかもですが(笑)。 【中将】 夢子の夢をふくらませていたというところでしょうか(笑)。 さて、夢子さんは1971年生まれで東京都台東区のご出身。どんな少女時代だったんでしょうか? 【北岡】 実家は下町で酒屋をやっていたのですが、両親ともに自由な教育方針だったので、こんな感じに育ちました(笑)。歌は小さい頃から好きで、父に連れられて近所のスナックで歌ったりもしましたね。 【橋本】 昭和なエピソード! 【中将】 どんな歌手が好きだったんですか? 【北岡】 やっぱり一番は松田聖子さん。熱狂的に好きです。あとは本田美奈子.さん。このお二人が出てる番組は全部録画してましたね。 【中将】 このお二人に憧れて芸能界を目指したということでしょうか。デビューのきっかけは何だったんでしょう? 【北岡】 聖子さんのいるサンミュージックに入りたい一心で、1985年8月31日に事務所のオーディションを受けたんです。聖子さんの『七色のパドル』(1985)を歌い、どうにか合格しました。 【中将】 聖子さんが結婚で活動休止する直前にリリースした『天使のウィンク』のB面ですよね。いい曲だけど、なぜあえてB面曲を? 【北岡】 当時のオーディションってみんな『天使のウィンク』を歌ってたんですよ。私も当初はその予定だったんですが、それを見て「このままじゃ埋もれちゃう!」と思ってこの曲に変更しました。 【中将】 見事、作戦勝ちだったわけですね。事務所に入った後、憧れの聖子さんには会えたんでしょうか? 【北岡】 はい。コンサートにお邪魔して、楽屋からステージに向かう途中の廊下でご挨拶させていただきました。握手までしていただいて「本物だ! 現実にいたんだ!」と泣いてしまいました(笑)。 【橋本】 アイドル黄金時代の出来事ですね! キラキラしていて華やかで、私の世代からすると本当に夢のような世界です。 【中将】 その後、グラビアやドラマ『こんな学園みたことない!』(読売テレビ)出演などを経て1988年4月6日にフォーライフレコードからシングル『憧憬(あこがれ)』でレコードデビュー。同期デビューには、姫乃樹リカさん、国実百合さん、小高恵美さん、仲村知夏さん、藤谷美紀さん、西田ひかるさん、相川恵里さん、島崎路子さん、高岡早紀さん、田中律子さん、吉田真里子さん……などなど。デビュー当時の思い出は、どんな感じですか? 【北岡】 芸能活動と学業の両立が忙しすぎてあんまり覚えてないんですよ(笑)。キャンペーンでいろんな地方行ったりテレビ番組出たなぁ、同期の子たちと現場でワイワイおしゃべりしたなぁ……というくらいで。でも、性格なのか、つらい記憶はほどんどないですね。印象に残っているのは楽しいことばかりです。 【中将】 この年の7月23日には京王線1日駅長を務め「北岡夢子号」を走らせてますよね。 【北岡】 やりました。フォーライフって本当にキャンペーンの企画力がすごいんですよ。通勤の時間帯に電車を借り切ってしまうなんて、今では考えられないですよね。 【橋本】 全車両、一本丸ごと借りちゃうわけですか? 【北岡】 はい、何両編成だったかは忘れましたが、ファンの人たちと一緒に電車で「よみうりランド」まで行って、そこでファーストコンサートさせていただきました。 【中将】 前後しますが1988年7月5日にはセカンドシングル『告白』をリリースされています。 【橋本】 『憧憬』もそうでしたが、とっても正統派のアイドルソングですよね。まだ高校生とは思えないほど歌唱力が光っています。 【中将】 もっとおちゃらけて歌いやすい曲を出す方もいた時代だと思いますが、レコード会社の方針だったのでしょうか? 【北岡】 もっとポップな曲を出している子たちを見て「アイドルっぽくてうらやましいな」という思いもあったんですが、事務所やレコード会社としては、私をちゃんと歌の歌えるアイドル、歌手に育てたいという思いがあったみたいです。 【中将】 『告白』では『ミュージックステーション』(テレビ朝日)にも出演されていますね。THE ALFEE、光GENJI、池田聡さん、中山美穂さん、渡辺美奈代さん、薬師丸ひろ子さんと共演者も豪華です。 【北岡】 最近、この回のビデオを見せていただく機会があったんです。実はタモリさんと私の父がそっくりなんですよ。生放送で先輩たちや観客の方の前で歌うことに緊張していたんですが「お父さんみたいで……」とお話しをして和ませていただいたのを思い出しました。 【中将】 2枚のシングルを出された後、1988年8月21日には11曲入りのファーストアルバム『夢子』をリリース。特にお気に入りは『海にかかる虹』、『優しくなりたい』ということですが、しっとりしたミディアムテンポの曲と、若々しいアップテンポな曲で対照的な2曲ですね。 【橋本】 曲ごとに的確に歌い分けされているのはすごいなと思います。 【北岡】 当時は難しいなと思いながら歌っていたんですが、今あらためて聴くと、とてもいい曲を書いていただいたんだなと思いますね。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ アイドルシーンの階段を駆け上がってゆく北岡夢子さん。続く後編ではアイドル全盛期や気になる復帰作について紹介します。
ラジオ関西