【プレミアプレーオフ】浦和ユース、京都U-18との死闘を制しプレミア復帰
高円宮杯U-18サッカーリーグ2024プレミアリーグプレーオフ(参入戦)の決定戦が8日に実施。Bブロックの浦和レッドダイヤモンズユースと京都サンガF.C. U-18の一戦は1-1(PK:4-3)で浦和が勝利し、2021年以来となるプレミアリーグ復帰を決めた。 【フォトギャラリー】浦和レッドダイヤモンズユース vs 京都サンガF.C. U-18 浦和ユースにとってはプリンスリーグ関東1部に降格してから挑む2度目のプレーオフチャレンジ。昨年は同じ広島広域公園 第一球技場で帝京長岡と対戦し、1-2で敗れていた。「相手が喜んでいる姿を自分たちは泣いて見ることしかできなくて、当時の悔しさが自分たちのまあエネルギーになり、この1年間頑張れました。去年を超えたい気持ちが強かった」。DF28阿部慎太朗(3年)の言葉通り、浦和の選手たちはこの1年リベンジの準備を進めてきたという。 序盤はそうした浦和ユースの想いが感じられる試合展開で、判断よくボールを動かしながらMF14井上大輝(3年)、19深田京吾(2年)の両翼によるサイドアタックや、来季からのトップチーム昇格が決まっているFW9照内利和(3年)の抜け出しを引き出していく。 最初の決定機は前半9分。DF33田中義峯(1年)が自陣から入れたクサビから井上が前を向いてゴール前にスルーパス。照内がゴール前に走り込んだが、先にGK21本多敦(2年)に対応された。14分にはMF22松坂芽生(3年)がDF裏に入れたボールに井上が反応したが、再び本多の牙城を崩せない。 17分には右サイドでボールを持った井上の大外をMF6和田直哉(2年)が追い越してクロスを上げることで右CKを獲得。ゴール前に入れたボールの折り返しをDF24田中一信(2年)が頭で合わせて、浦和ユースが先制した。 対する京都U-18は「最後の1試合で勝てばプレミアへの昇格が決まる緊張感で、チーム全体の入りが堅かった」とFW10立川遼翔(3年)が振り返った通り、前半は思い通りとはいえない展開となったが、時間の経過とともにボールが動き始める。 後半に入ってからは完全に京都U-18ペース。「前半は昌山や星俊が相手を引き出して疲れさせてくれていたので、後半は相手が落ちてくるのは分かっていた。そのタイミングで、相手の間で受けて、運んだりパスを出したりがしっかりやれていた」。そう口にする立川を起点に見せ場を作ると後半14分にはスルーパスからゴール前を飛び出したFW9西岡佑真(3年)がシュート。16分にはMF7尹星俊(2年)からのパスを左でもらったMF15酒井滉生(2年)がゴールを狙ったが、シュートは枠を捉えることができない。 それでも手を緩めず攻め続けると33分にはコンビネーションによる中央での崩しから、西岡がフリーでゴール前を抜け出し、同点ゴールをマーク。そのまま前後半を終えた。延長戦でも京都U-18の流れは続き、延長後半3分には中盤でのボール奪取から左に展開し、酒井が逆転弾を狙ったが、歓喜の瞬間は訪れない。 浦和ユースの堅守を支えた阿部はこう振り返る。「相手はロングボールが多く、細かい場面が上手いと分析済みでした。苦しい時間帯も多かったのですが、最後にゴールを割らせなければ失点しない。コースを限定して小森に取らせたり、打たせても入らないシュートを打たせようと意識していました。それにチャレンジ&カバーも徹底できました」。 延長戦でも決着がつかず、PK戦でも2人目までは両者成功するなど拮抗した展開が続いたが、迎えた5人目は先攻の浦和が成功したのに対し、後攻の京都U-18がキックを失敗。この結果1-1(PK:4-3)で浦和が勝利した。 浦和ユースの平川忠亮監督にとっては就任1年目での悲願達成で、来季からJ3琉球で指揮を執る意味でも弾みがつくのは間違いない。「監督1年目で彼らの監督をやらせてもらい、こんなにハッピーエンドで終わるとは思っていなかった。立場はまた違いますが、昨年の悔しさを彼らと一緒に晴らすことができたのは、現役の時と同じスタート。最初、鹿島とのナビスコカップ決勝で負けて、次の年は同じ国立の舞台で鹿島を倒して初タイトル。そうした思い出もあったから、今回倒せたらまた指導者としても良いスタートが切れると思っていた。なかなか理想の結果にはならないのが普通なのに、選手には感謝しかないですね」。 (文・写真=森田将義)