ショチョガマ完成 住民とボランティアが作業 9日に秋名アラセツ行事 龍郷町
旧暦8月初丙(はつひのえ)に行われる鹿児島県龍郷町秋名・幾里集落の稲作行事「秋名アラセツ行事」の「ショチョガマ」が1日、集落と田袋を見下ろす中里(なざと)の山の中腹に建てられた。地域住民とボランティア合わせて約150人が参加し、設営や炊き出しに協力。祭場に資材を運び上げ、1日掛かりで片屋根のわらぶき小屋(ショチョガマ)を完成させた。 行事は国指定の重要無形民俗文化財。早朝のショチョガマと、夕方に海岸で行う「平瀬マンカイ」で五穀豊穣(ほうじょう)を祈る。当日は潮が満ち始めるころにチヂン(太鼓)の合図で祭りが始まり、朝日が昇ると同時に男衆がショチョガマを揺らして倒す。今年の祭り日は9日。 ショチョガマは幅約7メートル、高さ約3メートル。シイの木を使って本柱(ほんばしら)2本と「スダチ柱」4本を設置した後、梁(はり)となる「ケタ」を組んで骨格を作り、竹と稲わらで屋根をふく。最後に「シル」と呼ばれる飾りを6カ所に設置して完成。 この日は朝8時から設営を始め、集まった人たちが炎天下、資材の運搬や組み立てに汗を流した。参加した県職員の男性(54)は「十数年前、1度目の奄美赴任のときに祭事は見たが設営は初めて。徐々に形が出来上がっていくのが分かった。他にはない奄美独特の文化。当日もぜひ参加したい」と話した。 保存会の窪田圭喜会長(83)によると、片屋根の材料となる稲わらは、かつて集落の各世帯が提供したものを使っていたが、稲作を営む人が減少したことで入手が困難になっている。現在は数少ない地元農家から購入して補っているという。 窪田会長は「(ボランティアの参加は)大助かり。集落の伝統行事を絶やすことなく、年寄りから若者に伝承していきたい」と語った。