スタバ半額、地元企業は1杯130円 中国コーヒーの勝者なき戦い
動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国版として若者から支持を集める「抖音(ドウイン)」。現在、この動画投稿アプリで「我在古代开星巴克」と検索すると一風変わった動画が表示される。 【関連画像】コッティコーヒーはほぼすべての商品を9.9元で提供。格安を武器に店舗数を増やしている 星巴克は、米コーヒーチェーン大手スターバックスの中国語名で、直訳すると「私は古代でスターバックスを開店します」。スターバックス店員の主人公と客であるヒロインがスターバックスの入り口で偶然ぶつかり、古代へとタイムスリップ。主人公が持っていたコーヒー豆とマニュアルを活用し、古代でスターバックスを開業する、といったストーリーが展開されていく。 動画を配信するのはもちろんスターバックスの中国法人。1話当たり5分前後のショート動画で、9月19日から全6話が配信された。10月9日時点で再生回数は7700万回を突破しており、今回の取り組みは一定の支持を集めたと言えそうだ。 ●スタバが中国で値下げ競争に参戦 スターバックスの中国法人が抖音でプロモーション用のショート動画を手掛けるのは今回が初めてとみられる。ただそれ以上に中国の消費者に大きなインパクトを与えたのは、同時に打ち出した値引きキャンペーンだ。 具体的には、ショート動画内で登場したオリジナルの「フラペチーノ」などを2杯で39.9元(約800円)で提供する。通常の販売価格は1杯40元程度のため半額となる計算だ。他にも抖音からスターバックスの販売サイトへとアクセスすると、複数杯のコーヒーなどを約半額で提供するキャンペーン動画が表示される。 スターバックスの中国法人はこれまでブランド力の維持のため値下げには消極的な姿勢を示してきた。今回のキャンペーンを含め、足元ではクーポン券の投入を増やしており値下げ姿勢が鮮明になっている。 現在、中国では地場のコーヒーチェーンが勃興しており、景気の低迷もあり熾烈(しれつ)な価格競争が繰り広げられている。スターバックスも足元の業績は低迷。2024年4~6月期の中国市場の売上高は7億3380万ドルと、前年同期比で11%減となった。これまで中国国内で高いブランド力を誇ってきた圧倒的な地位が脅かされている。