中国、補助金でデフレ対策-消費者・企業支援強化し需要喚起狙う
(ブルームバーグ): 中国は補助金の対象となる消費財を増やし、産業設備更新の資金支援プログラムを強化する。輸出を巡る逆風が強まる中で、国内消費の喚起を狙う。
国家発展改革委員会(発改委)と財政省が8日公表した通知によれば、消費者は6000元(約12万9000円)未満の携帯電話やタブレット、スマートウオッチを新品で購入する場合、15%の補助金を受け取ることができるようになる。
実際の給付は1人当たり年1500元が上限となり、購入できる商品の数には一定の制約が設けられる。
国の支援対象となる家電製品の品目は、昨年の8品目から12品目に増える。産業設備更新の奨励対象に農業機械が追加されるほか、電子情報や労働安全などの分野の企業も今年から含まれるようになる。
発改委はまた、古い車から新しい電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車に乗り換える買い手に2万元、排気量2リットル未満のガソリン車購入者には1万5000元の補助金が支給されるとこの日明らかにした。古い車の支援対象範囲も拡大された。
この買い替えプログラムは昨年導入。以後、EVやハイブリッド車などの販売が大きく増えた。メーカーや投資家は、昨年末で失効した補助金制度が今年更新されるか見守っていた。
蔚来汽車(NIO)や理想汽車などは、政策発表待ちの期間も購入が続くように補助金額相当のインセンティブを提供。買い替え制度は乗用車だけでなく、家電製品にも適用される。電子レンジや炊飯器、浄水器で購入価格の最大20%相当の補助が受けられる。
中国は今年、消費者信頼感と企業の景況感が低迷する中で、デフレ対策として消費拡大をこれまで以上に重視している。米国では20日に第2次トランプ政権が発足するが、米国との貿易摩擦が激化する可能性が高く、経済成長の原動力である輸出も勢いを失う恐れがある。
発改委の趙辰昕副主任は8日の記者会見で、今回公表されたプログラムは「実効性のある投資の拡大と消費者需要の促進、環境に配慮した変革の推進、国民生活の改善」において重要な役割を果たすと説明。