【ラグビー・パシフィック4シリーズ】女子カナダ代表が世界王者のブラックファーンズから歴史的初勝利
カナダの勝因は、なんと言っても気迫あふれるディフェンスに尽きる。そして、セットピース(スクラム、ラインアウト)の安定感。FW戦で互角以上に戦い、ブラックファーンズが得意とする高速ラグビーを封じ込めた。 特に後半は、カナダが有利に戦っていた印象が強い。 敗れたブラックファーンズは、ブレイクダウンでの反則が多かった。後半に2枚のイエローカードが出るなど規律面の悪さが試合を有利に進めれない要因となった。 FW戦ではカナダにプレッシャーを受け、特にモール攻撃に対応できなかった。そこからトライに持ち込まれたことが一番の敗因だった。 プレーヤー・オブ・ザ・マッチは、カナダのPRダレアカ・メニン。インタビューでは「チームに凄く興奮している。私たちは、最後の最後までハードワークをしました」と話し、続けて「この一週間は、彼女たち(チームの皆)と一緒に、私たちのベストを尽くす事だけを考えていた」。 応援に来てくれた人たちに向けての感謝も忘れずに伝えた。喜びのあまりに感情が抑えきれず、涙しながらのインタビューはとても印象的だった。 敗れたブラックファーンズの共同キャプテン、ケネディー・サイモンは、ショックを隠し切れない様子で、「カナダが私たちの上をいった。おめでとうございます」。続けて、「私たち自身を振り返り、必ず立ち上がらなければいけない」。最終戦のオーストラリア戦に向けて立て直す事を強調した。 試合後は、勝利したカナダの選手たちの笑顔でいっぱいだった。そして、その勝利の喜びを一緒に分かち合う笑顔のファンも大勢いた。 アマチュアの選手が多いカナダがプロとして活動しているブラックファーンズに勝利した。カナダの選手たちにとって、この試合の勝利の重さがどれほどのものなのかを感じることができた。 観る者の心も揺さぶる試合だった。
◆日本代表前HCのジョセフ氏の娘が代表入り。
カナダに敗れて世界ランキング2位から3位となったブラックファーンズの新人に注目したい選手がいる。日本代表の前ヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフの娘、SHマイア・ジョセフだ。 現在ブラックファーンズのSHのポジションンは、2022年のワールドカップで引退をしたレジェンド、ケンドラ・コックセッジが抜けた穴を埋め切れていない。そこで、今季は若いSHを代表に入れた。 その一人がジョセフで、パシフィック・フォーシリーズの開幕から2試合とも背番号9を任された。期待が込められている証拠だろう。 そのジョセフは、新人とは思えないほど周りの状況がしっかりと見えている。カナダ戦では、ディフェンスをしっかりと引き付けてノールックパス。ヴァアコロの2つ目のトライを生み出した。 女子では珍しく、自陣22メートル内から一気に敵陣に入るキック力がある事も証明した。経験を積んでいけば、さらに頼もしい選手となっていきそうだ。今後に注目したい。 (文/松尾智規)