能登の火葬場がほぼ使えない…葬祭関係者の知られざる奮闘 増え続ける遺体、でも「最後の尊厳だけは守りたい」
▽「せめて最後の別れはきちんとさせてあげたかった」 一つの遺体を作業していると、新たに複数の遺体が運ばれてくる日もあった。 高浦さんは今、通常の納棺の仕事に戻り、高齢や病気で亡くなった人の遺体を扱う。 「命を全うし、家族に見守られながら亡くなった人たちに比べ、災害で亡くなった人たちは家族と最後のお別れもできないまま、突然命を奪われた」。だから「せめて、最後の別れをきちんとさせてあげたかった」 「もっとできたのではないか」との後悔もあるという。納棺師の数が足りなかったため、一人一人に十分な時間を確保できないことも。 「通常は1時間かけるのに、長くても1人30分ほどしか時間をかけられない。時間の許す限り精いっぱいやったつもりだが、もっと丁寧にしたかった。もう、災害で納棺する機会はこないでほしい」