24年の米自動車販売は増加、トランプ氏のEV税控除廃止の示唆が寄与
(ブルームバーグ): 米国におけるプラグインハイブリッド車の販売は2023年には期待外れな結果に終わっていたが、24年は増加したもようだ。トランプ次期米大統領が電気自動車(EV)に対する税額控除の廃止を示唆したことが、昨年終盤の販売押し上げにつながったとみられる。
調査会社コックス・オートモーティブの予想によると、24年10-12月(第4四半期)の電気自動車(EV)販売台数は12%増。通年では過去最高の130万台に達したもよう。7-9月(第3四半期)は8%増だった。米自動車市場全体に占めるプラグインモデルの割合は約8%で、1年前との比較でわずかな拡大にとどまった。
10-12月の好調も寄与し、24年通年の自動車全体の販売台数も前年比で増加。調査会社4社の予想の平均に基づくと、24年における自動車全体の販売台数は年率換算1590万台。前年は1550万台だった。
ただこうしたEV販売増加が25年も継続するとは見込まれていない。トランプ氏がEVに対する政策を変更する可能性があるためだ。JPパワーによると、新車購入を考えている人のうち、次の購入でEVを検討しているのはわずか4分の1にとどまる。
コックスのチーフエコノミスト、ジョナサン・スモーク氏は12月に開いた記者との電話会見で、「脅しと不安」により「購入に対する切迫感」が強まったと分析。「それは購入の動き全体に言えることで、EVについても大いに当てはまる」と続けた。
トランプ氏は、自動車業界に関するバイデン大統領の政策を「EV義務化」と非難し、EV販売促進を意図した連邦政府の政策を廃止することを選挙運動の柱の一つとしてきた。政権移行チームのアドバイザーらは、プラグイン車種の購入者に対する7500ドル(約118万円)の連邦税控除の廃止を提言している。実際に廃止されれば、米消費者にとっては既に高価な車がさらに手の届かないものになる。トランプ氏はまた、米国の自動車サプライチェーンと密接な関係にあるカナダとメキシコに関税の脅しをちらつかせており、これも自動車価格を押し上げる恐れがある。